在庫管理で意外と後回しにされやすいのが、商品マスタの整理です。
日々の入出庫や棚卸、発注作業に追われていると、商品名の表記ゆれ、SKUの重複、JANコードの未登録、販売単位と在庫単位の違いなどが、そのまま放置されてしまうことがあります。
しかし、商品マスタが乱れていると、在庫数が合わない、同じ商品を重複登録してしまう、棚卸に時間がかかる、発注ミスが起きるなど、現場の負担がどんどん増えてしまいます。
この記事では、忙しい現場でも一度に全部を直そうとせず、優先順位をつけて商品マスタを整理する方法を解説します。
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H2-1 商品マスタが乱れると在庫管理にどんな問題が起きる?
商品マスタ整理の前に、SKU・商品コード・JANコードの違いを確認しておきましょう
商品マスタが乱れる原因のひとつは、SKU、商品コード、JANコードの役割があいまいなまま登録されていることです。まず基本の違いを整理しておくと、商品マスタを見直すときの判断がしやすくなります。
商品マスタは、在庫管理の土台になる基本データです。
商品名、商品コード、SKU、JANコード、規格、サイズ、色、仕入先、在庫単位などを管理する情報が、商品マスタに登録されています。
この商品マスタが整理されていないと、日々の入出庫や棚卸、発注、在庫確認の作業で少しずつズレが出てきます。
最初は小さな違いでも、そのまま放置すると、同じ商品を別の商品として登録してしまったり、在庫数が合わなくなったり、現場で確認作業が増えたりします。
商品マスタの乱れは、単なるデータの見た目の問題ではありません。
在庫管理全体の精度を下げる原因になります。
H3-1 同じ商品が別名で登録される
商品マスタでよく起きる問題のひとつが、同じ商品が別名で登録されてしまうことです。
たとえば、同じ商品でも、次のように登録されることがあります。
- 青 Tシャツ M
- Tシャツ 青 Mサイズ
- TシャツM 青
- Tシャツ ブルー M
人が見れば同じ商品だとわかる場合でも、在庫管理上は別の商品として扱われてしまうことがあります。
その結果、実際には在庫があるのに「在庫なし」と判断されたり、逆に在庫が少ないのに十分あるように見えてしまうことがあります。
商品名の表記ゆれは、在庫数のズレだけでなく、検索しにくさにもつながります。
現場の担当者が商品を探すたびに、どの名前で登録されているのかを確認しなければならない状態になると、日々の作業時間も増えてしまいます。
H3-2 SKU・商品コード・JANコードの関係が曖昧になる
商品マスタでは、SKU、商品コード、JANコードの関係が曖昧になることもあります。
商品コードは、社内で商品を管理するためのコードです。
SKUは、在庫を数える単位です。
JANコードは、流通や販売で使われる標準的なコードです。
この3つは似ていますが、役割は同じではありません。
たとえば、1つの商品コードの中に、色違い・サイズ違いのSKUが複数ある場合があります。
また、同じ商品でも販売形態やセット内容によって、JANコードが変わることもあります。
この関係を整理しないまま商品マスタを使っていると、在庫をどの単位で数えるのかが曖昧になります。
その結果、入庫、出庫、棚卸、発注のたびに確認が必要になり、在庫管理の精度が下がりやすくなります。
H3-3 在庫数・発注数・棚卸結果が合わなくなる
商品マスタが乱れていると、在庫数、発注数、棚卸結果が合わなくなる原因になります。
たとえば、仕入れはケース単位で行っているのに、在庫はバラ単位で管理している場合があります。
このとき、商品マスタ上で「1ケースが何個入りなのか」「在庫はどの単位で数えるのか」が整理されていないと、入庫数や在庫数にズレが出やすくなります。
また、棚卸のときに現場では「箱」で数えているのに、マスタ上では「個」で管理している場合も注意が必要です。
単位の考え方が揃っていないと、棚卸結果を入力するときに換算ミスが起きます。
このようなズレは、1回だけなら小さな問題に見えるかもしれません。
しかし、毎日の入出庫や発注の中で積み重なると、在庫数が大きくズレる原因になります。
H3-4 現場の確認作業が増えてしまう
商品マスタが整理されていないと、現場の確認作業が増えます。
たとえば、商品を出庫するときに、似た名前の商品が複数表示されると、担当者はどれを選べばよいのか迷います。
発注するときも、同じ商品が複数登録されていると、どの商品コードで発注すればよいのか確認が必要になります。
棚卸のときも、現物と商品マスタの名前や単位が合っていないと、現場で判断しなければなりません。
このような確認作業は、1件ごとは短い時間かもしれません。
しかし、毎日何度も発生すると、現場全体の負担になります。
商品マスタを整理する目的は、データをきれいに見せることではありません。
現場が迷わず、同じ判断ができるようにすることです。
そのため、商品マスタの整理では、見た目の統一だけでなく、現場で使いやすい状態にすることが大切です。
H2-2 商品マスタ整理で最初に見るべき基本項目
商品マスタを整理しようとすると、すべての項目を一気に見直したくなるかもしれません。
しかし、忙しい現場では、最初から完璧な商品マスタを作ろうとすると、作業量が多くなりすぎます。
まずは、在庫管理に直接関係する基本項目から確認することが大切です。
特に、商品名、商品コード、SKU、JANコード、規格、サイズ、色、仕入先、販売単位、在庫単位は、優先して確認したい項目です。
これらの項目が整理されているだけでも、入出庫、棚卸、発注、在庫確認の作業はかなり進めやすくなります。
H3-1 商品名
商品名は、現場の担当者が商品を探すときに最もよく見る項目です。
そのため、商品名の付け方がバラバラだと、商品検索や確認作業に時間がかかります。
たとえば、同じ商品でも「青」「ブルー」「BL」など、表記が混在していると、検索しにくくなります。
商品名を整理するときは、次のようにルールを決めておくと管理しやすくなります。
- 商品名の基本名称を先に書く
- 色やサイズは決まった順番で書く
- 略称を使う場合は社内で統一する
- 不要な記号やスペースを増やしすぎない
商品名は、見た目をきれいにするためだけの項目ではありません。
現場が商品を探しやすくするための重要な項目です。
H3-2 商品コード
商品コードは、社内で商品を識別するための番号や記号です。
商品名はあとから変更されることがありますが、商品コードはできるだけ変更しない前提で管理することが多いです。
そのため、商品コードが重複していたり、ルールなく付けられていたりすると、在庫管理が不安定になります。
商品コードを確認するときは、まず次の点を見ます。
- 同じ商品コードが重複していないか
- 空欄の商品がないか
- 途中で付け方のルールが変わっていないか
- 廃番商品と現行商品が混在していないか
商品コードは、在庫管理システムやExcel、スプレッドシートで商品を管理するときの基準になります。
商品名が似ていても、商品コードで正しく区別できる状態にしておくことが大切です。
H3-3 SKU
SKUは、在庫を数える単位です。
商品マスタを整理するときは、このSKUの考え方を特に確認する必要があります。
たとえば、同じTシャツでも、色やサイズが違えば、在庫としては別に管理する必要があります。
この場合、次のようにSKUを分けます。
- Tシャツ 青 M
- Tシャツ 青 L
- Tシャツ 白 M
- Tシャツ 白 L
これらを1つの商品としてまとめてしまうと、色別・サイズ別の在庫数がわからなくなります。
反対に、必要以上に細かくSKUを分けすぎると、商品マスタが複雑になり、管理が大変になります。
SKUを整理するときは、「在庫をどの単位で数えたいのか」を基準に考えることが大切です。
H3-4 JANコード
JANコードは、商品に付けられる標準的なバーコード番号です。
小売、流通、EC販売などでは、JANコードが商品識別に使われることがあります。
ただし、JANコードがあるからといって、商品マスタの整理が不要になるわけではありません。
社内の商品コードやSKUと、JANコードの関係を整理しておく必要があります。
たとえば、次のようなケースがあります。
- 1つの商品に1つのJANコードがある
- セット商品には別のJANコードがある
- 販売先や販売形態によってJANコードが異なる
- JANコードがない商品もある
JANコードは便利ですが、すべての商品管理をJANコードだけで行えるとは限りません。
在庫管理では、JANコードとあわせて、商品コードやSKUとの関係を整理しておくことが大切です。
H3-5 規格・サイズ・色・容量
規格、サイズ、色、容量は、SKUを分けるときに重要な項目です。
たとえば、同じ商品でも、サイズが違えば在庫は別に管理する必要があります。
色違いの商品も、在庫数を正確に把握するためには、別SKUとして管理することが多くなります。
食品や資材の場合は、容量や内容量の違いも重要です。
たとえば、500mlと1Lの商品を同じ商品として扱ってしまうと、在庫数や発注数が正しく判断できません。
商品マスタでは、商品名の中にすべての情報を詰め込むのではなく、必要に応じて「サイズ」「色」「容量」などの項目として分けて管理すると、後から集計や検索がしやすくなります。
H3-6 仕入先・販売単位・在庫単位
商品マスタでは、仕入先、販売単位、在庫単位も確認しておきたい項目です。
仕入先が複数ある商品では、どの仕入先から仕入れているのかを整理しておくと、発注時の確認がしやすくなります。
また、販売単位と在庫単位が異なる場合は、特に注意が必要です。
たとえば、仕入れはケース単位、販売は個単位、在庫管理も個単位という場合があります。
このとき、1ケースが何個入りなのかを商品マスタで管理していないと、入庫数や在庫数にズレが出やすくなります。
商品マスタを整理するときは、単に商品名やコードを整えるだけでなく、現場で実際にどの単位で仕入れ、どの単位で販売し、どの単位で在庫を数えているのかを確認することが重要です。
ここが整理されていると、在庫数、発注数、棚卸結果のズレを減らしやすくなります。
JANコードだけで商品を判断していませんか?SKUとの関係も確認しましょう
商品マスタでは、1つのSKUに複数のJANコードが紐づくことがあります。JANコードが違うから別商品なのか、それとも同じSKUとして管理するのか迷う場合は、SKUとJANコードの関係を整理しておくことが大切です。
H2-3 忙しい現場では「全部整理」ではなく「優先順位」を決める
商品マスタを整理しようとすると、すべての商品を一気に見直したくなるかもしれません。
しかし、日々の入出庫、発注、棚卸、出荷作業がある中で、すべての商品マスタを短期間で完璧に整えるのは簡単ではありません。
特に商品数が多い場合や、長年使ってきたExcel、スプレッドシート、在庫管理システムがある場合は、商品名、商品コード、SKU、JANコード、単位、仕入先などをすべて見直すだけでも大きな作業になります。
そのため、忙しい現場では「全部を一気に整理する」のではなく、「影響が大きいところから順番に整理する」ことが大切です。
商品マスタ整理は、完璧を目指すよりも、在庫管理のズレや確認作業を減らせるところから始めるほうが現実的です。
H3-1 よく動く商品から整理する
最初に整理したいのは、入出庫が多い商品です。
毎日のように動く商品は、商品マスタの乱れがそのまま現場作業に影響します。
たとえば、よく出荷される商品で商品名の表記ゆれがあると、出庫時にどの商品を選べばよいのか迷いやすくなります。
また、発注頻度が高い商品で商品コードやSKUが曖昧だと、発注ミスや入庫ミスにつながることがあります。
反対に、ほとんど動いていない商品を先に整理しても、日々の作業改善にはつながりにくい場合があります。
忙しい現場では、まず次のような商品から確認すると効果が出やすくなります。
- 毎日出荷している商品
- 発注頻度が高い商品
- 売上上位の商品
- 欠品すると困る商品
- 現場でよく検索される商品
よく動く商品を整理するだけでも、出庫、入庫、発注、在庫確認の作業が進めやすくなります。
H3-2 在庫差異が多い商品から確認する
次に優先したいのは、在庫差異が多い商品です。
棚卸のたびに在庫数が合わない商品や、システム上の在庫数と現物数がよくズレる商品は、商品マスタに原因がある場合があります。
たとえば、次のようなケースです。
- 仕入単位と在庫単位が合っていない
- ケース入り数が商品マスタに登録されていない
- 色違い・サイズ違いのSKUが正しく分かれていない
- 同じ商品が複数の名前で登録されている
- 廃番商品と現行商品が混在している
在庫差異が出る原因は、現場作業のミスだけとは限りません。
商品マスタの登録ルールが曖昧なために、入庫、出庫、棚卸のたびに判断が分かれていることもあります。
在庫差異が多い商品を優先して確認すると、どの商品マスタの項目が在庫管理に影響しているのかが見えやすくなります。
まずは、棚卸で毎回ズレる商品や、現場からよく確認が入る商品をリストアップして、商品名、SKU、単位、商品コードを見直すとよいでしょう。
H3-3 似た商品・色違い・サイズ違いを先に整える
商品マスタでミスが起きやすいのは、似た商品が多い場合です。
特に、色違い、サイズ違い、容量違い、型番違いの商品は、商品名だけでは区別しにくくなります。
たとえば、次のような商品は注意が必要です。
- 同じ商品で色だけが違う
- 同じ商品でサイズだけが違う
- 旧型番と新型番が似ている
- セット品と単品が混在している
- 容量違いの商品名が似ている
このような商品は、商品マスタの登録ルールが曖昧だと、出庫や棚卸で選び間違いが起きやすくなります。
また、SKUの分け方が曖昧だと、実際には「青のMサイズ」が不足しているのに、全体在庫では十分あるように見えてしまうこともあります。
似た商品を整理するときは、商品名だけで区別しようとせず、色、サイズ、容量、型番などを項目として整理することが重要です。
現場で見たときに、どの商品を選べばよいか迷わない状態にしておくことが、商品マスタ整理の大きな目的です。
H3-4 廃番・休眠商品は後回しにする
商品マスタ整理では、廃番商品や休眠商品も気になるかもしれません。
しかし、忙しい現場では、最初からすべての廃番商品や休眠商品を整理しようとすると、作業が大きくなりすぎます。
もちろん、廃番商品や休眠商品が現行商品と混ざっていると、検索しにくくなったり、誤って発注してしまったりすることがあります。
そのため、最終的には整理が必要です。
ただし、最初の段階では、よく動く商品や在庫差異が多い商品を優先するほうが効果的です。
廃番商品や休眠商品は、次のように段階的に整理すると進めやすくなります。
- 現行商品と廃番商品を区別する
- 一定期間動きのない商品にフラグを付ける
- 発注できない商品をわかるようにする
- 検索時に現行商品を優先して表示できるようにする
商品マスタ整理は、すべての商品を同じ優先度で見る必要はありません。
まずは、現場作業への影響が大きい商品から整理し、廃番商品や休眠商品は段階的に整理していくと、無理なく進めやすくなります。
商品マスタを整理する優先順位は、SKUの考え方を知ると決めやすくなります
忙しい現場では、すべての商品を一気に整理するのではなく、在庫管理に影響しやすい商品から見直すことが大切です。特に、色違い・サイズ違い・容量違いなどはSKUの考え方を理解しておくと、どこから整理すべきか判断しやすくなります。
H2-4 SKUを正確に保つための商品マスタ整理の考え方
商品マスタを整理するときに、特に重要になるのがSKUの考え方です。
SKUは、在庫を数える単位です。
商品名や商品コードを整えても、SKUの考え方が曖昧なままだと、在庫数を正確に管理することは難しくなります。
たとえば、同じ商品でも、色、サイズ、容量、規格が違えば、在庫としては別に管理する必要があります。
反対に、必要以上に細かくSKUを分けすぎると、商品マスタが複雑になり、現場で管理しにくくなります。
SKUを正確に保つには、「在庫をどの単位で数えるのか」を基準にして、商品マスタを整理することが大切です。
H3-1 SKUは在庫を数える単位として考える
SKUは、商品を販売する単位ではなく、在庫を数える単位として考えることが基本です。
たとえば、Tシャツという商品があった場合、色やサイズをまとめて1つの商品として見ることはできます。
しかし、在庫管理では「青のMサイズ」と「白のLサイズ」は別に数える必要があります。
この場合、SKUは次のように分けて考えます。
- Tシャツ 青 M
- Tシャツ 青 L
- Tシャツ 白 M
- Tシャツ 白 L
これらをまとめて管理してしまうと、全体の在庫数はわかっても、どの色・どのサイズが不足しているのかがわかりません。
在庫管理で必要なのは、実際に出荷できる単位、棚卸で数える単位、発注判断に使う単位です。
そのため、SKUを考えるときは、「現場で何を1つとして数えているか」を確認することが重要です。
H3-2 商品コードとSKUを混同しない
商品コードとSKUは似ていますが、役割が違います。
商品コードは、社内で商品を管理するためのコードです。
一方、SKUは、在庫を数えるための単位です。
たとえば、商品コードが1つでも、その中に複数のSKUがある場合があります。
1つの商品シリーズに、色違い、サイズ違い、容量違いがある場合などです。
商品コードを大きな商品グループとして使い、SKUを在庫管理の単位として使うこともあります。
この関係が曖昧だと、商品マスタ上では1つの商品に見えていても、実際の現場では複数の在庫として管理しなければならない状態になります。
商品マスタを整理するときは、次のように考えるとわかりやすくなります。
- 商品コード:社内で商品を識別するための番号
- SKU:在庫を数えるための単位
- JANコード:流通や販売で使われる標準コード
この3つを同じものとして扱うのではなく、それぞれの役割を分けて整理することが大切です。
H3-3 JANコードだけに頼らない
JANコードは、商品を識別するために便利なコードです。
バーコードとして読み取れるため、入出庫、販売、棚卸などで活用しやすい項目です。
しかし、JANコードだけに頼って商品マスタを管理すると、うまくいかない場合があります。
たとえば、JANコードがない商品もあります。
また、同じ商品でもセット販売用に別のJANコードが付いている場合や、販売先によって別のコードを使う場合もあります。
さらに、社内で管理したい在庫単位と、JANコードで表される販売単位が一致しないこともあります。
このような場合、JANコードだけでは、在庫管理に必要な単位を正確に表せないことがあります。
商品マスタでは、JANコードを便利な識別情報として使いながらも、社内の商品コードやSKUとの関係を整理しておくことが重要です。
JANコードがあるから安心ではなく、「そのJANコードがどの商品コード・どのSKUに対応しているのか」を確認できる状態にしておく必要があります。
H3-4 色・サイズ・容量違いはSKUとして分ける
色、サイズ、容量、規格が違う商品は、基本的にはSKUとして分けて管理する必要があります。
理由は、在庫数を正確に把握するためです。
たとえば、同じ商品でも、青のMサイズは在庫があるのに、白のMサイズは在庫切れということがあります。
このとき、色やサイズを分けずに1つの商品として管理していると、実際には欠品しているSKUを見落としてしまいます。
食品や資材の場合は、容量や規格の違いも重要です。
500mlと1Lの商品を同じSKUとして管理してしまうと、在庫数や発注数を正しく判断できません。
一方で、必要以上に細かくSKUを分けすぎると、商品マスタが複雑になり、現場の入力や確認作業が増えてしまいます。
SKUを分けるかどうかは、次の基準で考えると整理しやすくなります。
- 在庫数を別々に把握したいか
- 発注判断を別々に行う必要があるか
- 棚卸で別々に数えるか
- 出荷時に選び間違えると問題になるか
これらに当てはまる場合は、SKUとして分けて管理したほうがよいでしょう。
SKUを正確に保つことは、商品マスタをきれいにするためだけではありません。
在庫数、欠品、発注、棚卸の精度を上げるための基本になります。
SKUを正確に保つには、SKUの基本とJANコードとの違いをあわせて確認しましょう
商品マスタでSKUを正しく管理するには、「在庫を数える単位」としてのSKUの考え方が重要です。さらに、JANコードが同じ商品識別に使われる場合でも、SKUとは役割が異なるため、あわせて整理しておくと管理ミスを減らしやすくなります。
H2-5 商品マスタ整理でよくある失敗
商品マスタを整理するときは、ただ項目を埋めたり、商品名をきれいに直したりするだけでは十分ではありません。
一見すると整っているように見えても、現場で使いにくい状態のままでは、在庫管理のズレや確認作業は減りません。
特に注意したいのは、「見た目を整えること」と「在庫管理で使いやすくすること」を混同してしまうことです。
商品マスタ整理の目的は、一覧表をきれいにすることではありません。
入庫、出庫、棚卸、発注、在庫確認のときに、現場が迷わず同じ判断をできるようにすることです。
ここでは、商品マスタ整理でよくある失敗を確認していきます。
H3-1 商品名だけをきれいにして終わってしまう
商品マスタ整理でよくあるのが、商品名だけを整えて終わってしまうケースです。
たとえば、表記ゆれを直したり、不要なスペースを削除したり、商品名の順番をそろえたりすることは大切です。
しかし、商品名だけを整えても、SKUや商品コード、JANコード、在庫単位が曖昧なままでは、在庫管理の精度は上がりません。
たとえば、商品名はきれいに統一されていても、次のような状態では問題が残ります。
- 同じ商品コードが複数の商品に使われている
- SKUの分け方が曖昧になっている
- JANコードと商品コードの対応関係がわからない
- ケース単位と個単位が混在している
- 廃番商品と現行商品が区別されていない
商品名の整理は、商品マスタ整理の入口です。
その先で、在庫をどの単位で数えるのか、どの商品コードで管理するのか、どのJANコードと紐づいているのかを確認する必要があります。
商品名だけをきれいにして安心してしまうと、見た目は整っているのに、現場では相変わらず確認作業が多い状態になってしまいます。
H3-2 使っていない項目まで一気に整えようとする
商品マスタには、多くの項目があります。
商品名、商品コード、SKU、JANコード、仕入先、販売単位、在庫単位、原価、売価、カテゴリ、棚番、ロット、使用期限など、業務によって必要な項目はさまざまです。
ただし、最初からすべての項目を完璧に整えようとすると、作業量が大きくなりすぎます。
その結果、途中で作業が止まってしまったり、現場に入力負担だけが増えてしまったりすることがあります。
特に、今の業務でほとんど使っていない項目まで一気に整理しようとすると、効果が見えにくくなります。
忙しい現場では、まず在庫管理に直接影響する項目から整えることが大切です。
優先して確認したいのは、次のような項目です。
- 商品名
- 商品コード
- SKU
- JANコード
- 在庫単位
- 販売単位
- 仕入単位
- 仕入先
これらが整理されていれば、日々の入出庫、棚卸、発注、在庫確認はかなり進めやすくなります。
商品マスタ整理は、項目を増やすことが目的ではありません。
現場で必要な項目から順番に整えることが重要です。
H3-3 現場で使う単位とマスタ上の単位がズレている
商品マスタ整理で特に注意したいのが、単位のズレです。
現場では「箱」で数えているのに、商品マスタ上では「個」で管理している。
仕入れは「ケース単位」なのに、在庫管理は「バラ単位」で行っている。
販売は「セット単位」なのに、在庫は「単品単位」で管理している。
このような単位のズレがあると、入庫数、出庫数、棚卸数、発注数にズレが出やすくなります。
たとえば、1ケース12個入りの商品を仕入れたとします。
在庫管理を個単位で行っている場合、1ケース入庫したときには12個として登録する必要があります。
しかし、商品マスタ上で入り数が管理されていなかったり、現場がケース数のまま入力してしまったりすると、在庫数が大きくズレてしまいます。
単位のズレは、在庫差異の原因になりやすい部分です。
商品マスタを整理するときは、次の点を確認しておくとよいでしょう。
- 仕入れはどの単位で行っているか
- 在庫はどの単位で数えているか
- 販売はどの単位で行っているか
- 棚卸ではどの単位で数えているか
- ケース入り数やセット内容は登録されているか
単位が整理されていると、現場の入力ミスや換算ミスを減らしやすくなります。
H3-4 登録ルールが人によって違う
商品マスタは、一度整理しても、登録ルールが決まっていないとすぐに乱れてしまいます。
たとえば、新しい商品を登録するときに、担当者によって商品名の書き方が違うことがあります。
ある人は「Tシャツ 青 M」と登録し、別の人は「青Tシャツ Mサイズ」と登録する。
また、色を「青」と書く人もいれば、「ブルー」「BL」と書く人もいるかもしれません。
このように人によって登録ルールが違うと、時間がたつにつれて商品マスタは少しずつ乱れていきます。
商品コードの付け方やSKUの分け方も同じです。
明確なルールがないまま登録すると、同じような商品が重複したり、必要な項目が未入力のまま残ったりします。
商品マスタを崩さないためには、最低限の登録ルールを決めておくことが必要です。
最初から細かいルールを作りすぎる必要はありません。
まずは、次のような基本ルールを決めるだけでも効果があります。
- 商品名の書き方
- 色やサイズの表記方法
- 商品コードの付け方
- SKUを分ける基準
- JANコードの登録ルール
- 廃番商品の扱い
商品マスタ整理は、過去のデータを直すだけではありません。
これから新しく登録される商品が、同じルールで登録されるようにすることも大切です。
JANコードだけで商品を分けると、商品マスタが複雑になることがあります
商品マスタ整理では、JANコードが違うからといって必ず別SKUにするとは限りません。同じ在庫単位として管理する商品に複数のJANコードが紐づくこともあるため、SKUとJANコードの関係を確認しておくことが大切です。
H2-6 商品マスタを崩さないための運用ルール
商品マスタは、一度整理すれば終わりではありません。
新しい商品が追加されたり、仕入先が変わったり、販売単位が変わったり、廃番商品が出たりすると、商品マスタも更新が必要になります。
そのため、商品マスタを正確に保つには、整理したあとの運用ルールが重要です。
ルールがないまま運用していると、せっかく整えた商品マスタも、時間がたつにつれてまた乱れてしまいます。
大切なのは、現場が無理なく続けられるルールにすることです。
細かすぎるルールを作っても、現場で使われなければ意味がありません。
まずは、新規登録、変更、確認の流れを決めて、商品マスタが崩れにくい状態を作ることから始めましょう。
H3-1 新規商品登録の担当者を決める
商品マスタを崩さないためには、新規商品を誰が登録するのかを決めておくことが大切です。
担当者が決まっていないと、必要になった人がその場で登録することになります。
その結果、商品名の付け方、商品コードの付け方、SKUの分け方が人によって変わりやすくなります。
たとえば、営業担当、仕入担当、倉庫担当、事務担当がそれぞれ自由に商品を登録していると、似た商品が重複して登録される可能性があります。
また、急いで登録したために、JANコードや在庫単位が未入力のまま残ってしまうこともあります。
新規商品登録の担当者を決めておくと、登録ルールを統一しやすくなります。
担当者を1人に固定する必要はありません。
ただし、登録前に確認する人、登録する人、承認する人の役割を決めておくと、商品マスタの乱れを防ぎやすくなります。
最初は、次のような簡単なルールでも十分です。
- 新規商品は担当者が登録する
- 登録前に既存商品と重複していないか確認する
- 商品コードとSKUを必ず確認する
- 必要な項目が未入力のまま登録されないようにする
新規登録の入口を整えることが、商品マスタを崩さないための第一歩です。
H3-2 商品名・商品コード・SKUの入力ルールを決める
商品マスタを安定して運用するには、商品名、商品コード、SKUの入力ルールを決めておく必要があります。
特に商品名は、現場で検索するときによく使われるため、表記ゆれがあると作業効率が下がります。
たとえば、色の表記を「青」「ブルー」「BL」のどれにするのか。
サイズの表記を「M」「Mサイズ」のどちらにするのか。
商品名の中で、色、サイズ、容量をどの順番で書くのか。
こうしたルールを決めておくだけでも、商品検索や在庫確認がしやすくなります。
商品コードについても、できるだけ重複しないルールが必要です。
商品コードは、商品を識別する基準になるため、あとから頻繁に変更すると混乱の原因になります。
SKUについては、どの条件で分けるのかを決めておくことが大切です。
たとえば、色違い、サイズ違い、容量違いをSKUとして分けるのか。
セット商品は単品とは別SKUにするのか。
ロットや使用期限までSKUとして分ける必要があるのか。
業務によって考え方は変わりますが、社内で判断基準をそろえておくことが重要です。
入力ルールは、最初から完璧なマニュアルにする必要はありません。
まずは、よく登録する商品のパターンをもとに、現場が迷いやすい部分だけでもルール化するとよいでしょう。
H3-3 変更履歴を残す
商品マスタでは、新規登録だけでなく、変更履歴を残すことも大切です。
商品名、商品コード、SKU、JANコード、在庫単位などを変更した場合、あとから「いつ、誰が、なぜ変更したのか」がわからないと、原因確認が難しくなります。
たとえば、商品名を変更したあとに、現場から「いつもの商品が見つからない」と問い合わせが入ることがあります。
商品コードやSKUを変更した場合は、過去の入出庫履歴や棚卸データとの関係がわかりにくくなることもあります。
特に、商品コードやSKUは在庫管理の基準になるため、変更するときは注意が必要です。
変更履歴には、最低限、次のような情報を残しておくとよいでしょう。
- 変更日
- 変更者
- 変更前の内容
- 変更後の内容
- 変更理由
Excelやスプレッドシートで管理している場合は、別シートに変更履歴を残す方法でも十分です。
在庫管理システムを使っている場合は、変更履歴やログ機能を活用できると安心です。
変更履歴を残しておくと、在庫差異や発注ミスが起きたときに、原因を確認しやすくなります。
H3-4 定期的に重複・未入力・表記ゆれを確認する
商品マスタを崩さないためには、定期的な確認も必要です。
どれだけ入力ルールを決めても、日々の業務の中で、重複登録、未入力、表記ゆれは少しずつ発生します。
そのため、商品マスタは一度整理して終わりではなく、定期的に見直すことが大切です。
確認する内容は、最初は難しいものでなくてかまいません。
たとえば、次のような点を見るだけでも効果があります。
- 商品コードが重複していないか
- 商品名に表記ゆれがないか
- SKUが正しく分かれているか
- JANコードが必要な商品に登録されているか
- 在庫単位や販売単位が空欄になっていないか
- 廃番商品が現行商品と混在していないか
確認の頻度は、商品数や登録頻度によって変わります。
新商品が多い会社であれば、月に1回程度確認してもよいでしょう。
商品数の変化が少ない場合は、四半期に1回でも十分な場合があります。
大切なのは、問題が大きくなってから一気に直すのではなく、小さな乱れのうちに見つけて直すことです。
商品マスタを定期的に確認する仕組みがあると、在庫管理の精度を安定して保ちやすくなります。
新規商品を登録する前に、SKUの基本ルールをそろえておきましょう
商品マスタを崩さないためには、新しい商品を登録するときのルール作りが重要です。特に、商品コード、SKU、JANコードの役割をあいまいにしたまま登録すると、あとから表記ゆれや重複登録が起きやすくなります。
H2-7 商品マスタ整理に使える簡単チェックリスト
商品マスタを整理するときは、いきなりすべての項目を細かく確認しようとすると大変です。
特に商品数が多い場合、最初から完璧に整理しようとすると、作業量が大きくなりすぎて途中で止まってしまうことがあります。
そのため、まずは在庫管理に影響しやすい項目から確認することが大切です。
ここでは、忙しい現場でも確認しやすいように、商品マスタ整理のチェックポイントをまとめます。
すべてを一度に直す必要はありません。
まずは、よく動く商品、在庫差異が多い商品、似た商品が多いカテゴリから順番に確認していくと進めやすくなります。
H3-1 商品名に表記ゆれがないか
最初に確認したいのは、商品名の表記ゆれです。
同じ商品なのに、登録されている名前が少しずつ違っていると、検索しにくくなったり、別の商品として扱われたりすることがあります。
たとえば、次のような表記ゆれはよく起きます。
- 青、ブルー、BLが混在している
- M、Mサイズ、Mediumが混在している
- 商品名の順番がバラバラになっている
- 全角・半角の文字が混在している
- 不要なスペースや記号が入っている
商品名の表記ゆれは、在庫管理のズレだけでなく、現場の確認作業を増やす原因になります。
特に、商品を検索して出庫・入庫・棚卸を行っている場合は、商品名の統一が重要です。
確認するときは、次のような観点で見ていきます。
- 同じ商品が別名で登録されていないか
- 色やサイズの書き方が統一されているか
- 商品名の並び順が統一されているか
- 略称の使い方が社内で統一されているか
- 現場の担当者が検索しやすい名前になっているか
商品名は、商品マスタの中でも現場が最も目にする項目です。
まずは、よく使う商品から表記ゆれを減らすだけでも、日々の確認作業を減らしやすくなります。
H3-2 商品コードが重複していないか
次に確認したいのは、商品コードの重複です。
商品コードは、社内で商品を識別するための重要な番号です。
商品名は変更されることがありますが、商品コードは在庫管理や発注、入出庫履歴の基準になることが多いため、重複していると大きな混乱につながります。
たとえば、違う商品に同じ商品コードが使われていると、どの商品を指しているのか判断できなくなります。
また、同じ商品なのに複数の商品コードが登録されている場合も、在庫が分散して見えてしまうことがあります。
確認するときは、次の点を見ます。
- 同じ商品コードが複数の商品に使われていないか
- 商品コードが空欄の商品はないか
- 同じ商品が別の商品コードで重複登録されていないか
- 途中で商品コードの付け方が変わっていないか
- 廃番商品と現行商品で同じコードを使っていないか
Excelやスプレッドシートで管理している場合は、商品コード列で重複チェックを行うだけでも、問題を見つけやすくなります。
商品コードの重複は、後から原因を追いにくい問題です。
そのため、新規商品を登録する前に、既存の商品コードと重複していないか確認する仕組みを作っておくことが大切です。
H3-3 SKU単位が在庫管理の単位と合っているか
商品マスタ整理では、SKU単位が実際の在庫管理の単位と合っているかを確認することが重要です。
SKUは、在庫を数える単位です。
しかし、商品マスタ上のSKUと、現場で実際に数えている単位がズレていると、在庫数が合わなくなります。
たとえば、現場では色・サイズ別に在庫を数えているのに、商品マスタではまとめて1つの商品として登録されている場合があります。
この場合、全体の在庫数はわかっても、どの色・どのサイズが不足しているのかがわかりません。
反対に、現場ではまとめて管理しているのに、商品マスタ上で細かく分けすぎていると、入力や確認の手間が増えてしまいます。
確認するときは、次の点を見ます。
- 色違い・サイズ違いを別SKUとして管理しているか
- 容量違い・規格違いを別SKUとして管理しているか
- セット商品と単品を区別しているか
- 棚卸で数える単位とSKUが合っているか
- 発注判断に必要な単位でSKUが分かれているか
SKU単位が適切に整理されていると、欠品、過剰在庫、棚卸差異を見つけやすくなります。
SKUは商品マスタの中でも、在庫管理の精度に直接関係する項目です。
H3-4 JANコードが必要な商品に登録されているか
JANコードを使って入出庫、販売、棚卸、バーコード管理を行っている場合は、JANコードの登録状況も確認しておきます。
JANコードが必要な商品に登録されていないと、バーコード読み取りができなかったり、販売データと在庫データを紐づけにくくなったりします。
ただし、すべての商品にJANコードがあるとは限りません。
社内管理品、部品、資材、業務用商品、独自商品などでは、JANコードがない場合もあります。
そのため、確認するときは「JANコードがあるかないか」だけでなく、「JANコードが必要な商品に正しく登録されているか」を見ることが大切です。
確認ポイントは次の通りです。
- JANコードが必要な商品に登録されているか
- JANコードの桁数や入力形式に誤りがないか
- 同じJANコードが別の商品に登録されていないか
- セット商品と単品のJANコードが混在していないか
- JANコードとSKUの対応関係がわかるか
JANコードは便利な識別情報ですが、商品コードやSKUの代わりにすべてを管理できるとは限りません。
商品マスタでは、JANコード、商品コード、SKUの関係を整理しておくことが重要です。
H3-5 廃番・休眠商品がそのまま残っていないか
商品マスタには、すでに販売していない商品や、しばらく動きのない商品が残っていることがあります。
これらをそのまま現行商品と同じように表示していると、検索しにくくなったり、誤って発注してしまったりすることがあります。
特に、商品名が似ている場合は注意が必要です。
現行商品と廃番商品が混在していると、出庫や発注のときに間違った商品を選んでしまう可能性があります。
確認するときは、次の点を見ます。
- 廃番商品に廃番フラグが付いているか
- 長期間動きのない商品を把握しているか
- 発注できない商品がわかるようになっているか
- 現行商品と廃番商品が検索結果で混在していないか
- 似た商品名の旧商品と新商品が区別されているか
廃番商品や休眠商品をすぐに削除する必要はありません。
過去の入出庫履歴や売上履歴と関係している場合があるため、安易に削除すると過去データの確認がしにくくなることがあります。
まずは、現行商品と区別できるようにすることが大切です。
H3-6 商品マスタ整理はチェック項目を絞って始める
商品マスタ整理は、最初からすべてを完璧にしようとしないことが大切です。
まずは、在庫管理に影響しやすい項目に絞って確認します。
最初のチェック項目としては、次の5つで十分です。
- 商品名に表記ゆれがないか
- 商品コードが重複していないか
- SKU単位が在庫管理の単位と合っているか
- JANコードが必要な商品に登録されているか
- 廃番・休眠商品が現行商品と区別されているか
この5つを確認するだけでも、商品マスタの大きな乱れは見つけやすくなります。
重要なのは、問題を見つけたら一度に全部直そうとするのではなく、よく動く商品や在庫差異が多い商品から順番に直していくことです。
商品マスタ整理は、現場作業を止めて行う特別な作業ではありません。
日々の業務の中で少しずつ見直し、崩れにくい状態にしていくことが大切です。
商品マスタをチェックするときは、SKUとJANコードの対応関係も確認しましょう
商品名や商品コードの重複だけでなく、JANコードがどのSKUに紐づいているかも大切な確認ポイントです。同じSKUに複数のJANコードが付くケースを知っておくと、チェック時の判断がしやすくなります。
H2-8 Excel・スプレッドシートで商品マスタを管理する場合の注意点
小規模な在庫管理では、ExcelやGoogleスプレッドシートで商品マスタを管理しているケースも多くあります。
Excelやスプレッドシートは、すぐに使い始められ、項目の追加や修正もしやすい便利なツールです。
商品名、商品コード、SKU、JANコード、仕入先、在庫単位などを一覧で管理できるため、最初の商品マスタ管理には向いています。
一方で、自由に入力できるからこそ、表記ゆれ、入力ミス、重複登録、誤削除などが起きやすい面もあります。
Excelやスプレッドシートで商品マスタを管理する場合は、便利さを活かしながら、ミスを防ぐための工夫を入れておくことが大切です。
H3-1 手入力ミスを減らす
Excelやスプレッドシートの商品マスタで最も起きやすいのが、手入力ミスです。
商品名の入力ミス、商品コードの打ち間違い、JANコードの桁違い、SKU名の表記ゆれなどは、すべて手入力から発生しやすい問題です。
たとえば、同じ商品でも、担当者によって色の表記が変わることがあります。
「青」「ブルー」「BLUE」「BL」などが混在すると、商品検索や集計がしにくくなります。
また、商品コードを手入力している場合、1文字違いで別の商品として扱われてしまうこともあります。
手入力ミスを減らすには、次のような工夫が有効です。
- 入力する項目を必要最小限にする
- よく使う値は選択式にする
- 商品コードやSKUはコピー入力に頼りすぎない
- JANコードなど桁数が決まっている項目は形式を確認する
- 入力後に重複や空欄をチェックする
商品マスタは、最初に登録した情報がその後の入出庫、棚卸、発注に使われます。
そのため、登録時の入力ミスを減らすことが、在庫管理のズレを防ぐ第一歩になります。
H3-2 プルダウンや入力規則を使う
Excelやスプレッドシートでは、プルダウンや入力規則を使うことで、入力内容をある程度そろえることができます。
特に、カテゴリ、色、サイズ、単位、仕入先、ステータスなど、選択肢が決まっている項目は、自由入力にするよりもプルダウンにしたほうが管理しやすくなります。
たとえば、色の項目を自由入力にすると、「青」「ブルー」「BLUE」などの表記ゆれが起きやすくなります。
しかし、あらかじめ「青」「白」「黒」「赤」などの選択肢を用意しておけば、入力内容を統一しやすくなります。
プルダウンに向いている項目には、次のようなものがあります。
- 商品カテゴリ
- 色
- サイズ
- 在庫単位
- 販売単位
- 仕入先
- 現行・廃番などのステータス
入力規則を使うと、空欄を防いだり、決まった形式以外の入力を制限したりすることもできます。
たとえば、JANコードのように桁数が重要な項目では、入力形式を確認するルールを作るとミスを見つけやすくなります。
Excelやスプレッドシートは自由に入力できる反面、ルールがないとすぐに乱れます。
入力規則を使って、自由入力にしすぎないことが重要です。
H3-3 商品コードやSKUを後から変更しすぎない
商品コードやSKUは、在庫管理の基準になる重要な情報です。
そのため、後から何度も変更すると、過去の入出庫履歴や棚卸データとのつながりがわかりにくくなります。
たとえば、商品コードを変更したあとに、過去の発注データや在庫履歴を確認しようとしても、どの商品とつながっているのか判断しにくくなることがあります。
SKUも同じです。
SKU名やSKUコードを頻繁に変更すると、現場の担当者がどれを使えばよいのか迷いやすくなります。
もちろん、間違って登録された商品コードやSKUを修正することは必要です。
ただし、変更する場合は、次のようなルールを決めておくと安心です。
- 商品コードやSKUは原則として変更しない
- 変更する場合は変更前後の履歴を残す
- 変更理由を記録する
- 関連する入出庫データや発注データへの影響を確認する
- 現場に変更内容を共有する
Excelやスプレッドシートでは、商品コードやSKUを簡単に書き換えられます。
簡単に変更できるからこそ、変更ルールを決めておくことが大切です。
H3-4 複数人で編集する場合は権限管理に注意する
Googleスプレッドシートでは、複数人で同時に商品マスタを編集できます。
これは便利な機能ですが、商品マスタ管理では注意も必要です。
複数人が自由に編集できる状態にしていると、意図しない変更、誤削除、重複登録、入力ルールの乱れが起きやすくなります。
特に、商品コード、SKU、JANコード、在庫単位などの重要項目を誰でも変更できる状態にしていると、在庫管理全体に影響する可能性があります。
複数人で商品マスタを管理する場合は、次のような権限ルールを決めておくとよいでしょう。
- 商品マスタ全体を編集できる担当者を限定する
- 現場担当者は閲覧のみ、または一部項目だけ編集できるようにする
- 新規商品登録は担当者が確認してから行う
- 重要項目を変更した場合は履歴を残す
- 誤削除を防ぐために定期的にバックアップを取る
Excelファイルを共有している場合も同じです。
最新版がどれかわからなくなったり、複数のファイルが分かれてしまったりすると、商品マスタがさらに乱れやすくなります。
Excelやスプレッドシートで商品マスタを管理する場合は、誰が編集できるのか、どの項目を変更できるのか、変更時に何を記録するのかを決めておくことが大切です。
便利なツールを使っていても、運用ルールがなければ商品マスタは少しずつ崩れていきます。
小さなルールを決めておくことで、商品マスタを安定して管理しやすくなります。
ExcelやスプレッドシートでSKUを管理する前に、基本の考え方を整理しましょう
Excelやスプレッドシートは自由に商品マスタを作れる反面、SKU、商品コード、JANコードの使い分けがあいまいだと、表記ゆれや重複登録が起きやすくなります。まずはSKUの基本を確認しておくと、商品マスタの項目設計がしやすくなります。
H2-9 商品マスタ整理は在庫管理システム導入前にも重要
商品マスタの整理は、Excelやスプレッドシートで在庫管理をしている場合だけでなく、在庫管理システムを導入する前にも重要です。
在庫管理システムを導入すれば、入出庫、棚卸、発注、在庫確認などの作業は効率化しやすくなります。
しかし、登録する商品マスタが乱れたままでは、システムを導入しても十分な効果が出にくくなります。
商品名、商品コード、SKU、JANコード、在庫単位、販売単位などが整理されていない状態でシステムに移行すると、今までの問題がそのまま新しいシステムに持ち込まれてしまいます。
在庫管理システムは、正しい商品マスタをもとに動きます。
そのため、システム導入前に商品マスタを見直しておくことが、導入後の運用を安定させる大切な準備になります。
H3-1 マスタが乱れたままシステム化しても効果が出にくい
在庫管理システムを導入すると、在庫数の確認、入出庫の記録、棚卸、発注管理などを効率化できます。
しかし、商品マスタの内容が乱れていると、システム化しても現場の混乱は残ります。
たとえば、同じ商品が複数の名前で登録されている場合、システム上でも別の商品として扱われてしまいます。
商品コードが重複している場合は、どの商品を指しているのか判断しにくくなります。
SKUの分け方が曖昧な場合は、色別、サイズ別、容量別の在庫数を正しく把握できません。
また、仕入単位、販売単位、在庫単位が整理されていないと、入庫数や出庫数の入力でズレが出やすくなります。
このような状態では、在庫管理システムを導入しても、現場では結局確認作業が必要になります。
システム化は、乱れたデータを自動的に正しくしてくれるものではありません。
正しい商品マスタをもとに運用することで、はじめて在庫管理の精度を上げやすくなります。
H3-2 システム導入前に最低限整理しておきたい項目
在庫管理システムを導入する前に、すべての商品情報を完璧に整える必要はありません。
ただし、最低限、在庫管理に直接関係する項目は確認しておくことが大切です。
特に整理しておきたいのは、次の項目です。
- 商品名
- 商品コード
- SKU
- JANコード
- 在庫単位
- 販売単位
- 仕入単位
- 仕入先
- 現行商品・廃番商品の区別
これらの項目が整理されていると、システムへ移行するときの作業が進めやすくなります。
商品名に表記ゆれが少なければ、移行後の商品検索がしやすくなります。
商品コードやSKUが整理されていれば、入出庫履歴や棚卸データとの紐づけもしやすくなります。
在庫単位や販売単位が明確になっていれば、入庫数、出庫数、発注数の考え方も統一しやすくなります。
システム導入前の商品マスタ整理は、単なる事前準備ではありません。
導入後に現場が迷わず使える状態を作るための重要な作業です。
H3-3 小さく整えてから在庫管理の精度を上げる
商品マスタ整理は、一度にすべてを完璧にする必要はありません。
むしろ、忙しい現場では、よく動く商品や在庫差異が多い商品から小さく整えていくほうが現実的です。
たとえば、最初は売上上位の商品や、毎日出荷している商品だけを対象にしてもよいでしょう。
次に、棚卸で差異が出やすい商品、似た商品が多いカテゴリ、発注ミスが起きやすい商品へ広げていきます。
このように段階的に整理していくと、現場の負担を抑えながら、在庫管理の精度を少しずつ上げることができます。
Excelやスプレッドシートで管理している場合でも、まずは商品名、商品コード、SKU、在庫単位を整えるだけで、日々の確認作業は減らしやすくなります。
そのうえで、商品数や利用者数、入出庫件数が増えてきたら、在庫管理システムの導入を検討するとよいでしょう。
商品マスタを小さく整えておくと、将来的にシステム化するときにも移行しやすくなります。
在庫管理システムを導入する前に、まずは現在の商品マスタがどの状態にあるのかを確認しておくことが大切です。
在庫管理システムを導入する前に、SKU・商品コード・JANコードの基本を整理しておきましょう
商品マスタが乱れたまま在庫管理システムを導入すると、入出庫、棚卸、発注のズレがそのまま残ってしまうことがあります。システム導入前に、SKU、商品コード、JANコードの役割を確認しておくと、商品マスタを整えやすくなります。
H2-10 まとめ|商品マスタは完璧よりも崩れない仕組みが大切
商品マスタは、在庫管理の土台になる大切なデータです。
商品名、商品コード、SKU、JANコード、規格、サイズ、色、在庫単位、仕入先などが整理されていないと、入出庫、棚卸、発注、在庫確認のたびにズレや確認作業が発生しやすくなります。
ただし、商品マスタ整理は、最初からすべてを完璧にする必要はありません。
忙しい現場では、まず影響の大きいところから順番に整えることが大切です。
よく動く商品、在庫差異が多い商品、似た商品が多いカテゴリ、SKUが複雑な商品から確認していくと、現場の負担を抑えながら改善を進めやすくなります。
商品マスタ整理で特に重要なのは、SKUを在庫を数える単位として正しく考えることです。
商品コード、SKU、JANコードは似ていますが、役割は同じではありません。
商品コードは社内で商品を識別するためのコードです。
SKUは在庫を数える単位です。
JANコードは流通や販売で使われる標準的なコードです。
この3つの関係を整理しておくことで、在庫数、欠品、発注、棚卸の精度を高めやすくなります。
また、商品マスタは一度整理すれば終わりではありません。
新しい商品を登録するときのルール、商品名やSKUの入力ルール、変更履歴の残し方、定期的なチェックの仕組みが必要です。
商品マスタを「一度きれいにする作業」として考えると、時間がたつにつれてまた乱れてしまいます。
大切なのは、商品マスタを崩れにくくする運用ルールを作ることです。
Excelやスプレッドシートで管理している場合でも、プルダウン、入力規則、重複チェック、編集権限の管理などを取り入れることで、商品マスタの乱れを減らすことができます。
商品数や利用者数が増えてきた場合は、在庫管理システムの導入も選択肢になります。
ただし、システムを導入する前にも、商品マスタの整理は重要です。
乱れた商品マスタのままシステム化しても、在庫管理の精度は上がりにくくなります。
まずは、よく使う商品から小さく整理し、商品名、商品コード、SKU、JANコード、在庫単位の関係を確認していきましょう。
商品マスタは、完璧に整えることよりも、現場が迷わず使えて、崩れにくい状態を保つことが大切です。
その仕組みができると、在庫管理の精度を少しずつ安定させることができます。
商品マスタ整理とあわせて、SKU・JANコードの基本も確認しておきましょう
商品マスタを崩れにくくするには、商品名を整えるだけでなく、SKU、商品コード、JANコードの役割を分けて考えることが大切です。SKUの基本や、1SKUに複数JANが紐づくケースもあわせて確認しておくと、在庫管理の精度を高めやすくなります。




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