在庫管理システムを入れる前に知っておいてほしい
「やってはいけない順番」と「失敗しない進め方」
本講座では、
アピス在庫管理システムでの実際の導入経験をベースに、
中小規模の現場でも無理なく進められる考え方を整理しています。
ここまで読んでくれたあなたは、
もう薄々気づいていると思います。
「どんなに気をつけても、
在庫ってズレるよね…?」
SKUを決めて、
商品マスターを作って、
棚番を決めて、
入出庫ルールも最低限決めた。
それでも、
現場で在庫はズレます。
- 入力し忘れ
- 誤出庫
- 数え間違い
- 仮置きの放置
- イレギュラー対応
これは、
運用が悪いからでも、
システムがダメだからでもありません。
在庫管理とは、
「ズレる前提」でやるものです。
この回では、
ズレたときにどう立て直すか
という、
一番現実的で、一番大事な話をします。
不安の言語化
- 在庫がズレたら、
もうシステムを信用できなくなりそう - 一回ズレたら、
どんどんズレていく気がする - 立て直し方が分からず、
結局Excelに戻りそう - 全部棚卸ししないと
直せない気がする - ズレた時点で
「導入失敗」扱いになるのが怖い
こうした不安は、
とても自然なものです。
責めない宣言
まず最初に、
一番大事なことを言います。
在庫がズレたのは、
あなたのせいではありません。
どんなに優秀な現場でも、
どんなに高機能なシステムでも、
在庫はズレます。
ズレない在庫管理は、
理論上ほぼ存在しません。
だからこの講座では、
「ズレない方法」ではなく、
**「ズレたときの戻し方」**を
前提に話します。
今回のゴール
この回のゴールは、
在庫を完璧に合わせることではありません。
- ズレる前提で考えていいと知る
- ズレたときの正しい向き合い方を持つ
- 全数棚卸し以外の立て直し方を知る
ここまで腹落ちすれば十分です。
H2-1|そもそも、なぜ在庫はズレるのか
まず、
現実を直視しましょう。
在庫がズレる原因は、
だいたいこのどれかです。
- 入出庫の入力漏れ
- 入力タイミングのズレ
- 誤出庫・誤入庫
- 数え間違い
- 仮置きの未処理
- 例外対応の放置
ここで大事なのは、
これです。
ほぼ全部、
人間がやっている以上
避けられない。
だから、
「ズレない仕組み」を作るより、
「ズレたときに戻せる仕組み」を
持っている方が、
よほど現実的です。
H2-2|「ズレた=失敗」という思い込み
よくある思い込みが、これです。
「在庫がズレた時点で、
このシステムは失敗だ」
これ、
かなり多くの人がハマります。
でも現実には、
- Excel管理でもズレる
- 目視管理でもズレる
- 紙管理でもズレる
つまり、
ズレること自体は、
導入の成否とは無関係。
問題は、
ズレたあとに何が起きるか
です。
H2-3|やってはいけない立て直し方
まず、
地雷パターンからいきます。
① いきなり全数棚卸し
在庫がズレた
→ 全部数え直そう
これは、
一番よくある失敗です。
- 現場が止まる
- 人手が足りない
- 精神的にしんどい
- 二度とやりたくなくなる
結果、
次にズレたとき放置されます。
② システム入力を止める
ズレたから、
いったん入力やめよう。
これも危険です。
- さらにズレる
- どこからズレたか分からなくなる
- 立て直し不能になる
③ Excelに戻る
「やっぱりシステム無理だった…」
この瞬間、
今までの努力が
全部ムダになります。
H2-4|現実的なリカバリの考え方
ここが、
この回の核心です。
いきなり全部直そうとしない。
ズレた在庫は、
3段階で戻せます。
① 影響範囲を限定する
まず考えるのは、これだけです。
- ズレていそうな商品だけ
- ズレていそうな棚だけ
- 最近動いた商品だけ
全部じゃなくていいです。
② その範囲だけ実棚を確認する
影響範囲が絞れたら、
そこだけ数えます。
これなら、
- 現場は止まらない
- 心理的負担も軽い
③ システム側を“合わせにいく”
ここでやるのは、
「正しい在庫を決める」
ことです。
どっちが正しいか?
- 実棚か
- システムか
答えは、
基本的に実棚です。
(※ただし例外はありますが、
ここでは踏み込みません)
H2-5|全数棚卸しは「最後の手段」でいい
ここ、
あなたの思想と完全一致ポイントです。
全数棚卸しは、
理想の一つであって、
唯一解ではありません。
- 部分棚卸し
- 商品別棚卸し
- 棚番別棚卸し
こうしたやり方で、
ほとんどのズレは直せます。
全数棚卸しは、
- どうしても原因が特定できない
- ズレが全体に広がっている
このときだけで、
十分です。
考え方/判断軸
ここまでの話を、
一つの判断軸にまとめます。
・在庫はズレる前提でいい
・ズレた=失敗ではない
・いきなり全数棚卸ししない
・影響範囲を絞って直す
・実棚を正解にする
これが、
第11回で一番大事なポイントです。
なぜそう考えるか
在庫管理で一番怖いのは、
ズレることそのものではありません。
**「ズレた瞬間に、
運用が止まること」**です。
- もう信用できない
- 直すのが大変すぎる
- 面倒くさい
こう思われた瞬間、
システムは終わります。
だからこそ、
軽く戻せる設計思想が
最重要なのです。
ここまで読んだ方へ|在庫管理の「次の一歩」のご案内
ここまで読んでいただき、ありがとうございます
この講座では、「完璧を目指さない在庫管理」、 「現場を疲弊させない導入」、 「止まらない仕組みづくり」 を一貫してお伝えしてきました。
この講座の考え方は、アピス在庫管理システムの思想そのものです
実はこの講座でお話ししてきた考え方は、すべて 「アピス在庫管理システム」という小規模事業者向けの在庫管理システムを設計する中で生まれたものです。
- SKUや棚番を完璧に決めなくても始められる
- Excelからの段階導入を前提にできる
- 全数棚卸を強制しない(理想の一つとして扱う)
- ルールを重くせず、止まらない運用を優先する
その代わり、「小さな会社が、失敗せずに始められる」ことに本気で振り切っています。
ここまで読んで「うちも何とかしたい」と思った方へ
- 売り込みはしません(合わない場合は「やめた方がいい」とお伝えします)
- 今のやり方(Excel運用など)を否定しません
- 「導入するか迷っている」段階でも大丈夫です
👤 筆者プロフィール|DXジュン(Apice Technology 代表)
「tecn」を運営している DXジュン です。
Apice Technology株式会社の代表として、20年以上にわたり
Web制作・業務改善DX・クラウドシステム開発に携わっています。
普段は企業の現場課題に寄り添いながら、
在庫管理システム/予約システム/求人管理/受発注システム/クラウドソーシング など、
中小企業の仕事を“ラクにするツール”を作っています。
tecn では、業務改善のリアルや、Webシステムの仕組み、 そして「技術が生活をちょっと楽しくしてくれる」ような 日常×デジタルのヒントをゆるく発信しています。
現在の注力テーマは 在庫管理のDX化。 SKU・JAN・棚卸・リアルタイム連携など、 現場で役立つ情報を発信しつつ、 自社のクラウド在庫管理システムも開発・提供しています。
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記事があなたの仕事や生活のヒントになれば嬉しいです。 コメント・ご相談があればお気軽にどうぞ!





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