倉庫ロケーション 管理エクセルで在庫が合わない原因とは? 小規模倉庫でよくある失敗パターン
倉庫ロケーションをエクセルで管理していて、
- 在庫が合わない
- どこに置いたか分からなくなる
- 探す時間がどんどん増えている
- 引き継ぎがうまくいかない
──そんな状態になっていませんか?
現場ではちゃんと入力しているつもりなのに、
なぜか在庫数量や棚番がズレていく。
気づけば「この人しか分からない」状態になり、
ロケーション管理そのものが属人化してしまう。
でも実は、
こうした問題は入力ミスや運用の甘さが原因ではないケースがほとんどです。
多くの場合、
エクセルというツールに
本来の役割を超えたことをやらせ始めたことが、
構造的なズレの出発点になっています。
この記事では、
- なぜ「ロケーション × エクセル」は在庫が合わなくなるのか
- 小規模倉庫でよくある失敗パターン
- まだ耐えられるケースと、もう限界なケースの見分け方
- 単発対処ではなく「仕組み」で考えるという発想
を、できるだけ現場目線で整理します。
「いまの運用、ちょっと苦しくなってきたかも…」
そう感じている方が、
次に何を考えるべきかの判断軸を持てることをゴールにしています。
H2-1|なぜ「ロケーション × エクセル」は在庫が合わなくなるのか?
倉庫ロケーションをエクセルで管理していて、
「ちゃんと入力しているはずなのに、なぜか在庫が合わない」
と感じたことはありませんか。
実際、多くの小規模倉庫では
ロケーション表をまじめに更新しているにもかかわらず、
- 実棚とデータがズレる
- 探しても商品が見つからない
- 棚卸のたびに数字が合わない
といった問題が繰り返し起きています。
ここで大事なのは、
これは現場の誰かのミスではないという点です。
H3-1|「ちゃんと入力しているのに」合わなくなる理由
現場の方からよく聞くのが、
「入出庫のたびに、ちゃんとエクセルは直しているんです」
という言葉です。
それでも実際には、
- 移動したロケーションが反映されていない
- 誰かが別のファイルを更新している
- どれが最新版かわからなくなる
といったことが、知らないうちに起きています。
つまり、
“サボっているからズレる”のではなく、
まじめに運用していてもズレる構造になっているのです。
H3-2|在庫ズレは“ミス”ではなく“構造”で起きている
ロケーション管理をエクセルで行う場合、
どうしても次のような前提が必要になります。
- すべての入出庫・移動が
リアルタイムで正確に入力されること - 全員が同じファイルを使っていること
- 例外処理が発生しないこと
しかし、実際の現場では
この3つが常に守られることはほぼありません。
その結果、
在庫ズレは「誰かのミス」ではなく、
仕組みそのものの限界として発生します。
H2-2|小規模倉庫でよくある失敗パターン5つ
倉庫ロケーションをエクセルで管理している現場では、
ある時期から、だいたい同じ失敗パターンにハマっていきます。
最初は小さなズレでも、
それを放置したまま運用を続けることで、
気づかないうちに在庫管理全体が不安定になっていきます。
ここでは、小規模倉庫で特によく見られる
代表的な失敗パターンを5つ紹介します。
H3-1|ロケーション更新がリアルタイムで反映されない
入庫や移動のたびにロケーション表を更新していても、
忙しい時間帯やイレギュラー対応が入ると、
どうしても後回しになることがあります。
その結果、
「実棚は動いているのに、
エクセル上のロケーションだけが古いまま」
という状態が日常的に発生します。
H3-2|「最新版のエクセル」が分からなくなる
複数人でエクセルを使っていると、
いつの間にかファイルが増殖します。
- デスクトップ版
- 共有フォルダ版
- USBに入っている版
どれが正しいのか分からなくなり、
結果として、
全員が違うロケーション表を見て作業している
という事態が起きます。
H3-3|入出庫とロケーション管理が別ファイル
在庫数は在庫表で管理し、
ロケーションは別のエクセルで管理している。
この分業構造が、
ズレを加速させます。
どちらか一方だけ更新され、
もう一方が古いままになることで、
「数は合っているのに、場所が違う」
という状態が頻発します。
H3-4|俺ルール・現場ルールが増殖する
エクセル運用が長くなるほど、
人ごとのルールが増えていきます。
- 空いている棚にとりあえず置く
- あとで直す前提で移動する
- 覚えているから入力しない
こうした“その場しのぎ”が積み重なり、
ロケーション表は
もはや誰のルールで書かれているのか分からなくなります。
H3-5|棚卸でズレを“なかったこと”にしている
定期棚卸のたびに、
実棚の数に合わせて在庫数を修正していく。
この運用を続けていると、
ズレの原因が一切特定されないまま、
「帳尻合わせ」だけが繰り返されます。
結果として、
ロケーション管理の問題は何も解決しないまま、
また次のズレが発生します。
H2-3|なぜエクセル運用は必ず属人化するのか?
ロケーション管理をエクセルで続けていると、
ある時期から、特定の人しか分からない状態になっていきます。
本人はまじめに運用しているだけなのに、
気づけばその人がいないと
ロケーション表の更新も、
実棚との突き合わせもできなくなっている。
ここで重要なのは、
これは性格や能力の問題ではないという点です。
エクセルでロケーションを管理する以上、
属人化はほぼ確実に起きる構造になっています。
H3-1|ロケーション管理は「暗黙知」になりやすい
ロケーション管理の実務は、
意外と細かい判断の連続です。
- この商品はここに置いた方が取りやすい
- この棚は一時置き場として使っている
- この場所は実質、空き棚扱いしている
こうした判断は、
その場その場で最適化されていきます。
しかし問題は、
これらが一切エクセルに残らないことです。
結果として、
ロケーション表を見ても
「なぜここにあるのか」が誰にも分からない
状態になっていきます。
H3-2|引き継ぎ不能になる3つの理由
エクセル運用が長くなるほど、
ロケーション管理は引き継げないものになっていきます。
主な理由は、次の3つです。
① ファイル構造が本人仕様
シートの並び順、列の意味、色分けルールなどが、
すべて作成者の頭の中の前提で作られています。
第三者が見ても、
「どこをどう更新すればいいのか」
直感的に分かりません。
② ルールが文章化されていない
- どういうときにロケーションを変えるのか
- 移動時はどこまで入力するのか
- 例外時はどう処理するのか
こうしたルールが、
一切ドキュメント化されていません。
結果として、
引き継ぎ時に
「口頭説明だけで運用」
という無理ゲーになります。
③ 例外処理が多すぎる
現場では、
必ずイレギュラーが発生します。
- 棚が埋まっている
- 一時置きが発生する
- 返品や保留品が出る
そのたびに
“その場しのぎ”のルールが増え、
ロケーション管理は
どんどんカオス化していきます。
H2-4|まだエクセルで耐えられるケース/もう限界なケース
倉庫ロケーションをエクセルで管理しているすべての現場が、
今すぐ限界を迎えているわけではありません。
実際には、
**「まだ何とか回る状態」**と
「すでに構造的に破綻している状態」
の2つに分かれます。
ここでは、
その境界線をシンプルに整理します。
H3-1|まだ耐えられるケース
次の条件に当てはまる場合は、
エクセル運用でも、
しばらくは大きな問題なく回せる可能性があります。
- SKUが少ない
商品点数が限定されており、
棚の移動や入れ替えが頻繁に発生しない。 - 人が固定されている
ロケーション管理を担当する人がほぼ1人で、
入れ替わりがない。 - 入出庫が少ない
1日の入出庫件数が少なく、
リアルタイム更新が現実的にできる。
この状態であれば、
エクセル運用は
「まだ延命できている段階」
と言えます。
H3-2|もう限界なケース
一方で、
次の条件に1つでも当てはまる場合、
エクセル運用はすでに限界ゾーンに入っています。
- SKUが増加している
商品点数が増え、
ロケーション変更が日常的に発生している。 - 人が入れ替わる
担当者の異動・退職・増員があり、
引き継ぎが頻繁に発生している。 - 探す時間が増えている
ピッキング時に
「あれ、どこだっけ?」
という時間が確実に増えている。 - 在庫ズレが月1回以上発生している
棚卸や出荷時に、
目に見えるズレが定期的に起きている。
この状態になっている場合、
エクセル運用は
すでに**「努力では取り戻せない段階」**
に入っています。
H2-5|在庫が合わない状態を放置すると何が起きるか?
在庫ズレが発生していても、
「まあ何とか回っているから」と
そのまま放置されることは珍しくありません。
しかし実際には、
この状態を続けることで、
現場には少しずつ、しかし確実に
悪影響が積み重なっていきます。
H3-1|誤出荷・欠品・二度手間が日常化する
ロケーションが信用できない状態になると、
ピッキングのたびに
探し直しが発生します。
その結果、
- 違う商品を出荷してしまう
- 在庫があるはずの商品が見つからない
- もう一度最初から探し直す
といった二度手間が日常化します。
H3-2|「誰が悪いか」の空気になる
在庫ズレが続くと、
現場では次第に
「誰のミスなのか」という話になります。
- 入力した人が悪い
- 確認しなかった人が悪い
- 教えなかった人が悪い
こうした空気が生まれると、
本来やるべき
「なぜズレる構造になっているのか」
という議論が消えていきます。
H3-3|現場の改善意欲が死ぬ
最初のうちは、
みんな何とかしようと努力します。
- 気をつけて入力する
- ダブルチェックを増やす
- ルールを厳しくする
それでもズレが止まらないと、
次第に
「もう仕方ないよね」
という空気になります。
この状態になると、
在庫管理は
誰も本気で改善しようとしないテーマ
になってしまいます。
H2-6|単発対処ではなく「仕組み」で解決するという考え方
在庫ズレやロケーションの混乱が起きると、
多くの現場ではまず、
- チェックを厳しくする
- ルールを増やす
- 注意喚起を強化する
といった対処が取られます。
もちろん、
これらが無意味というわけではありません。
ただし、それでもズレが止まらない現場が
非常に多いのも事実です。
H3-1|チェック強化・ルール強化が失敗する理由
チェックやルールを増やすほど、
現場の運用は複雑になります。
- 忙しいと省略される
- 人によって解釈がズレる
- 例外対応が増える
結果として、
「守られる前提」で作ったルールほど、
実運用では形骸化していきます。
H3-2|ロケーション管理を「人の記憶」に頼る限界
エクセル運用では、
ロケーション情報は
人の入力と記憶に強く依存します。
- どこに移したか
- どこに戻したか
- どこが空いているか
これらを
人の注意力だけで正確に保つのは、
構造的に無理があります。
H3-3|属人運用から「仕組み運用」に変えるという発想
ここで重要なのは、
「もっと頑張る」ことではなく、
頑張らなくてもズレない構造にする
という発想です。
誰が作業しても、
自然に正しいロケーションが残る。
そういう「仕組み」を作らない限り、
在庫ズレは何度でも再発します。
H2-7|ロケーション管理を体系的に見直したい人へ
ここまで読んで、
「うちもまさにこの状態だ…」と感じた方も
多いかもしれません。
ただ、ひとつ大事な前提があります。
ロケーション管理の問題は、
それ単体で完結するテーマではない
という点です。
H3-1|在庫管理全体を整理しないと、また破綻する
ロケーションだけを直しても、
- 入出庫ルールが曖昧
- 在庫数量の基準がズレている
- 商品マスターが整っていない
こうした土台が崩れていれば、
結局またズレは再発します。
「一部だけ直す」やり方では、
構造そのものが変わらないからです。
H3-2|ロケーションは「一部の仕組み」にすぎない
ロケーション管理は、
在庫管理という大きな仕組みの
ほんの一部にすぎません。
本来は、
- 在庫の持ち方
- 入出庫の流れ
- 棚卸のやり方
- 商品コード・SKU設計
こうした要素と
セットで設計されるべきものです。
H3-3|全体像から設計し直したい人向けの整理ページがあります
もし、
- その場しのぎではなく
- ちゃんと構造から立て直したい
- 何から手をつけるべきか整理したい
そう感じた方は、
在庫管理全体を体系的に整理した
解説ページも参考になるかもしれません。
👉 在庫管理を「仕組み」から見直すための全体ガイド
(※ ここにピラーページへの内部リンク)
H2-8|小規模倉庫向けに設計された在庫管理の仕組みもある
ここまで読んで、
「もうエクセル運用は限界だけど、
いきなり大規模システムを入れるのも違う気がする…」
そう感じた方もいるかもしれません。
実際、在庫管理システムと聞くと、
どうしても
- 高機能
- 高価格
- 大企業向け
というイメージを持たれがちです。
H3-1|「高機能すぎるシステム」が合わない理由
小規模倉庫や少人数現場にとって、
高機能すぎる在庫管理システムは
むしろ扱いきれないケースが多くあります。
- 初期設定が複雑
- 画面が多すぎる
- 運用ルールが重い
- 結局、使われなくなる
こうした理由で、
「システムを入れたのに、エクセル併用に逆戻り」
という例も少なくありません。
現場に必要なのは、
“何でもできるツール”ではなく、
**「必要なことだけが、無理なく回る仕組み」**です。
H3-2|ロケーション管理を前提にした在庫管理ツールも存在する
実は、小規模事業者や小さな倉庫向けに、
- ロケーション管理を前提に
- 入出庫と在庫数量と棚番がズレないように
- できるだけシンプルに運用できる
という思想で作られた
在庫管理ツールも存在します。
たとえば
**「アピス在庫管理システム」**というツールも、
そうした考え方をベースに設計されています。
対象としているのは、
- SKUがそこまで多くない現場
- 少人数で在庫管理を回している事業者
- エクセル運用に限界を感じ始めた段階
といった層です。
ここでは詳しい説明はしませんが、
「こういう思想で作られた在庫管理の仕組みもある」
ということだけ、
頭の片隅に置いておいていただければ十分です。
H2-9|まとめ|エクセルが悪いのではなく「役割が違う」
ここまで読んでいただき、
「エクセルって、やっぱりダメなのか…」
と感じた方もいるかもしれません。
でも、まず最初にお伝えしておきたいのは、
エクセルそのものが悪いわけではないということです。
エクセルは本来、
- 集計する
- 一覧で見る
- 計算する
- データを加工する
といった用途には、非常に優れたツールです。
実際、
- SKUが少ない
- 人が固定されている
- 入出庫が少ない
こうした条件下では、
エクセル運用でも十分に回っている現場はたくさんあります。
エクセルが破綻するのは「役割を超えたとき」
問題が起きるのは、
エクセルに本来の役割を超えたことをやらせ始めたときです。
たとえば、
- リアルタイムの在庫管理
- ロケーション管理との完全同期
- 複数人同時編集
- 入出庫履歴のトレーサビリティ
こうした運用を、
エクセル単体で無理やり実現しようとすると、
- 在庫が合わなくなる
- ロケーションがズレる
- 属人化する
- 例外だらけになる
といった問題が、
構造的に避けられなくなります。
これは運用が悪いからでも、
担当者の能力が低いからでもありません。
単純に、
ツールの役割と、現場が求めている役割がズレてきただけです。
判断すべきなのは「エクセルをやめるか」ではない
ここで大事なのは、
「エクセルを今すぐ捨てるべきか?」
ではありません。
本当に考えるべきなのは、
「いまの現場規模・運用内容に、エクセルの役割は合っているか?」
という点です。
- 探す時間が増えてきた
- 在庫ズレが定期的に起きる
- 引き継ぎがうまくいかない
- ルールが人依存になっている
こうした兆候が出てきているなら、
それは
エクセルの限界が近づいているサイン
かもしれません。
まずは「仕組みで管理する」という発想を持つ
この段階で必要なのは、
- いきなり高額なシステムを入れること
- 無理にデジタル化を進めること
ではありません。
まずは、
「在庫・ロケーション・入出庫を、
人ではなく“仕組み”で一致させる」
という発想を持つこと自体が、
一番大きな一歩です。
そのうえで、
- まだエクセルで耐えられるのか
- そろそろ別の仕組みを考えるべきか
を、
冷静に判断すれば十分です。
この問題は「あなたの現場だけ」ではありません
最後にひとつだけ。
この記事で書いたような悩みは、
- 倉庫が少し大きくなった
- SKUが増えてきた
- 人が増えたり入れ替わった
というタイミングで、
ほぼ全ての現場が一度は通る道です。
いま困っていることは、
決して珍しいことでも、
恥ずかしいことでもありません。
「うちも、そろそろ次の段階かもしれないな」
そう感じたなら、
それだけでも、
十分に前向きな一歩です。
👤 筆者プロフィール|DXジュン(Apice Technology 代表)
「tecn」を運営している DXジュン です。
Apice Technology株式会社の代表として、20年以上にわたり
Web制作・業務改善DX・クラウドシステム開発に携わっています。
普段は企業の現場課題に寄り添いながら、
在庫管理システム/予約システム/求人管理/受発注システム/クラウドソーシング など、
中小企業の仕事を“ラクにするツール”を作っています。
tecn では、業務改善のリアルや、Webシステムの仕組み、 そして「技術が生活をちょっと楽しくしてくれる」ような 日常×デジタルのヒントをゆるく発信しています。
現在の注力テーマは 在庫管理のDX化。 SKU・JAN・棚卸・リアルタイム連携など、 現場で役立つ情報を発信しつつ、 自社のクラウド在庫管理システムも開発・提供しています。
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