在庫管理システム導入・最初の30日【第4回】|入出庫ルールを“1本だけ”決める
H2-1|なぜ今、入出庫ルールに触れるのか
H3-1|SKU・棚番を整えたことで「迷いどころ」が見えてきた
- どこで止まるか
- どこで判断が分かれるか
H3-2|ルールがないと、ズレは減らない
- 人ごとの差が残る
- 「なんとなく処理」が続く
H2-1|なぜ今、入出庫ルールに触れるのか
第1回・第2回・第3回を通して、
あなたはもう「整えすぎない」導入を体験しています。
- 不安があっても止めなかった
- ズレを責めなかった
- SKU・棚番を“1段だけ”整えた
この状態になって、はじめて
入出庫ルールに触れていいタイミングが来ます。
H3-1|SKU・棚番を整えたことで「迷いどころ」が見えてきた
SKUや棚番を少し整えると、
現場ではこんな変化が起きます。
どこで止まるか
- 入庫時に「これはもう在庫に入れていい?」と迷う
- 出庫時に「この時点で減らす?」と手が止まる
これは悪いことではありません。
判断ポイントが可視化されただけです。
どこで判断が分かれるか
- 人によって処理タイミングが違う
- Aさんは入庫扱い、Bさんは保留扱い
SKUや棚番が整ったからこそ、
ルール未定義の場所だけが浮き彫りになります。
ここが、
今触るべき「1本のルール」です。
H3-2|ルールがないと、ズレは減らない
ここまで来ると、
「ルールは軽くていい」と言ってきた理由も見えてきます。
人ごとの差が残る
ルールがない状態では、
- 正しく入力している人
- なんとなく処理している人
の差が埋まりません。
どちらも悪気はありませんが、
結果としてズレは積み上がります。
「なんとなく処理」が続く
- 後で直せばいい
- たぶんこうだろう
この“なんとなく”が残っている限り、
ズレは必ず再発します。
だから今、
全部ではなく「1本だけ」決める必要があるのです。
このあと第4回では、
- なぜ「1本だけ」でいいのか
- どのルールを選ぶべきか
- 決めすぎると何が起きるのか
を、具体的に解説していきます。
ここから先は、
「止めない」から「回り始める」への分岐点です。
H2-2|入出庫ルールは“たくさん決めない”が正解
H3-1|全部決めようとすると現場が止まる
- 想定が増えすぎる
- 誰も覚えられなくなる
H3-2|ルールは「守るもの」ではなく「戻る場所」
- 迷ったら戻れる
- 判断の起点になる
H2-2|入出庫ルールは“たくさん決めない”が正解
在庫管理システムを導入すると、
多くの現場で同じ欲求が生まれます。
「もうズレたくないから、全部ルールで決めてしまおう」
でも実はこれが、
一番システムを止めやすい選択です。
H3-1|全部決めようとすると現場が止まる
ルールを一気に決めようとすると、
現場では次のようなことが起きます。
想定が増えすぎる
- 通常入庫の場合はどうする?
- イレギュラーな入庫は?
- 返品は?
- 仮置きは?
- 担当者が不在のときは?
考え始めると、
想定は無限に増えていきます。
そして気づくと、
「決める会議」だけが増えて、運用が進まなくなるのです。
誰も覚えられなくなる
仮に全部決めたとしても、
- ルールが多すぎる
- 条件分岐が複雑
- 紙やマニュアルが分厚い
こうなると、現場ではこうなります。
- 正しいルールを確認するのが面倒
- 結局、自己判断で処理
- 入力が後回しになる
結果として、
ルールがあるのに、誰も使わない状態が生まれます。
H3-2|ルールは「守るもの」ではなく「戻る場所」
ここで、
入出庫ルールの考え方を一度ひっくり返します。
ルールは、
守るための縛り
ではありません。
迷ったら戻れる
良いルールとは、
- 迷ったときに
- 判断に詰まったときに
- 人によって考えが割れたときに
**「いったんここに戻ろう」**と言える基準です。
完璧に守れなくていい。
例外があってもいい。
それでも、
戻る場所が1つあるだけで、現場は止まりません。
判断の起点になる
入出庫ルールを1本だけ決めると、
- どこで判断しているのか
- どこが曖昧なのか
- 次に整えるべき場所はどこか
が、自然に見えてきます。
これはルールの完成ではなく、
運用を育てるための起点です。
H2-3|「1本だけ決める」ルールの正体
H3-1|それは「入出庫の基準点」を決めること
- いつ在庫が動いたとみなすか
- どの操作を“正”とするか
H3-2|よくある基準点の例
- 出庫は「物が動いた時」
- 入庫は「確認が終わった時」
- 伝票/画面入力、どちらを正とするか
※ あくまで例、正解は1つではない
H2-3|「1本だけ決める」ルールの正体
ここまででお伝えしてきた
「入出庫ルールは1本だけでいい」という話。
では、その “1本” とは何なのか。
結論から言うと、それはとてもシンプルです。
H3-1|それは「入出庫の基準点」を決めること
決めるべきルールは、
細かい手順でも、例外処理でもありません。
「いつ在庫が動いたとみなすか」
この一点です。
いつ在庫が動いたとみなすか
在庫管理がズレる原因の多くは、
- 人によって
- タイミングの認識が違う
ことにあります。
たとえば出庫の場合、
- 伝票を書いた時?
- システムに入力した時?
- 実際に物が棚から出た時?
この認識がバラバラだと、
同じ作業をしていても数字は揃いません。
だから最初に決めるのは、
「この瞬間を、在庫が動いたと扱う」
という 基準点 です。
どの操作を“正”とするか
もう一つ大事なのは、
- 紙の伝票
- Excel
- システム画面
どれを “正”の情報源 とするか。
全部を正にしようとすると、
必ず二重管理になります。
最初は、
「最終的には、ここに入力されたものを正とする」
と、1つだけ決めておけば十分です。
H3-2|よくある基準点の例
ここからは、
あくまで よくある例 を紹介します。
そのまま真似する必要はありません。
「こんな決め方でいいんだ」という参考です。
出庫は「物が動いた時」
- 実際に棚から商品を出した瞬間
- 出荷エリアに移した時点
このタイミングを
「出庫」とみなすケースは多いです。
理由はシンプルで、
現場の感覚とズレにくいから。
入庫は「確認が終わった時」
- 納品された
- 数量・品番を確認した
- 問題がないと判断した
この時点で入庫とするパターンです。
届いた瞬間を入庫にすると、
未検品のズレが増えやすいため、
あえてワンクッション置く考え方です。
伝票/画面入力、どちらを正とするか
- 伝票は記録用
- 画面入力を在庫の正とする
このように役割を分けるケースも多くあります。
大事なのは、
「最終的にどれを見れば在庫数が分かるのか」
が、現場全員に共通していることです。
※ 繰り返しますが、
これらは あくまで例 です。
正解は1つではありません。
あなたの現場で「迷いが減る基準点」が正解です。
次のH2では、
- この基準点をどうやって現場と共有するか
- ルールを押し付けずに浸透させる考え方
を解説していきます。
H2-4|このルールで「決めなくていいこと」が増える
H3-1|例外対応を今、決めなくていい理由
- 例外は無限に出る
- 今決めると、必ず破綻する
H3-2|迷ったら「基準点に戻る」だけでいい
- 特別ルールを作らない
- 一時的なズレを許容する
H2-4|このルールで「決めなくていいこと」が増える
「入出庫の基準点」を1本決めると、
実はもう一つ大きなメリットがあります。
それは、
今、決めなくていいことが一気に増える という点です。
在庫管理が重くなる原因は、
決めることが多すぎることではありません。
決めるタイミングを間違えることです。
H3-1|例外対応を今、決めなくていい理由
導入初期に必ず出てくるのが、この声です。
- 「この場合はどうするんですか?」
- 「イレギュラー時のルールも決めた方がいいですよね?」
- 「あとから困りませんか?」
気持ちはよく分かります。
ですが、ここでハッキリ言います。
例外は無限に出る
現場には必ず、
- 特急対応
- 返品
- 数量不足
- 伝票ミス
- 人の勘違い
といった 想定外 が発生します。
そしてその数は、
導入初期ほど多い。
この段階で例外をすべて想定しようとすると、
- ルールが増え続ける
- 誰も覚えられない
- 判断が遅くなる
という状態になります。
今決めると、必ず破綻する
導入直後は、
- どこでズレやすいか
- 何が例外になりやすいか
が、まだ見えていません。
見えていない状態で作った例外ルールは、
- 使われない
- 守られない
- すぐ形骸化する
のがほとんどです。
だからこの段階では、
例外対応は「決めない」ことが正解です。
H3-2|迷ったら「基準点に戻る」だけでいい
では、例外が起きたらどうするのか。
答えは、とてもシンプルです。
特別ルールを作らない
判断に迷ったら、
- 新しいルールを作る
- 特別な処理を追加する
のではなく、
「基準点に当てはめると、どうなるか?」
だけを考えます。
- 物が動いたか?
- 入庫確認は終わったか?
- この操作は“正”と決めた場所に反映されているか?
それだけで十分です。
一時的なズレを許容する
この時期に大切なのは、
- 完璧な数字
- きれいな帳尻
ではありません。
- 判断が止まらないこと
- 作業が続くこと
- 次に直す場所が見えること
です。
一時的にズレていても、
- 入力が続いている
- 基準点が共有されている
この状態が保てていれば、
在庫管理は前に進んでいます。
H2-5|“1本ルール”が現場にもたらす変化
H3-1|判断スピードが揃う
- 人による差が減る
- 作業が止まらない
H3-2|ズレが「責め」から「調整」に変わる
- 失敗探しをしなくなる
- 次に直すポイントが見える
H2-5|“1本ルール”が現場にもたらす変化
入出庫ルールを
たった1本だけ決める。
それだけで現場は、想像以上に変わります。
しかもこの変化は、
「ルールを守らせた結果」ではありません。
迷いが減った結果として、自然に起きるものです。
H3-1|判断スピードが揃う
入出庫の基準点が1つ決まると、
現場で起きていた“止まり”が減っていきます。
人による差が減る
これまでは、
- Aさんは「ここで出庫」
- Bさんは「もう一工程あと」
- Cさんは「その時々で判断」
と、
同じ作業でも判断がバラバラだったはずです。
基準点が決まると、
「迷ったら、ここに戻る」
という共通認識が生まれます。
完璧に揃わなくてもいい。
迷う場所が同じになるだけで十分です。
作業が止まらない
判断に迷うと、
- その場で止まる
- 後回しにする
- 誰かに聞きに行く
といった動きが増えます。
1本ルールがあると、
- 一度自分で判断できる
- 後から直せる安心感がある
ため、
とりあえず進める という選択が取れるようになります。
これが「止まらない在庫管理」の正体です。
H3-2|ズレが「責め」から「調整」に変わる
もう一つ、大きな変化があります。
それは、
ズレの扱い方です。
失敗探しをしなくなる
基準点がない状態では、ズレが出ると、
- 誰が間違えたのか
- なぜ守らなかったのか
という話になりがちです。
でも、1本ルールがあると視点が変わります。
- 基準点は合っていたか
- どこでズレたか
- 判断しにくい箇所はどこか
と、
人ではなく仕組みを見るようになります。
次に直すポイントが見える
ズレは、
「ダメな結果」ではありません。
- 次に触るべき場所
- 次に整える順番
を教えてくれるサインです。
この第4回でやったことは、
- 入出庫を完璧にすること
- ルールを完成させること
ではありません。
調整できる土台を作った だけです。
H2-6|この時点で、やらなくていいこと
H3-1|運用マニュアルの作成
- 文章化はまだ早い
- 体感が先
H3-2|承認フロー・権限設計
- 小規模では重くなる
- 止まる原因になる
H2-6|この時点で、やらなくていいこと
ここまでで、
- SKUを1段だけ整えた
- 入出庫の基準点を1本決めた
この状態まで来ると、
次にやりたくなることがあります。
でも、今はまだ手を出さなくていいことがあります。
H3-1|運用マニュアルの作成
「そろそろ、ちゃんと文章にしないと…」
そう思うタイミングですが、
今はまだ早いです。
文章化はまだ早い
今の状態は、
- 試している最中
- 揺れながら整えている途中
- 判断が育っている段階
です。
ここでマニュアルを書くと、
- すぐに書き直しになる
- 現場とズレた文章になる
- 「守れないルール」が増える
という結果になりがちです。
体感が先
先に必要なのは、
- どこで迷うか
- どこで止まりそうになるか
- どこなら自然に動けるか
という体感の蓄積です。
マニュアルは、
「回っている状態」が見えてからで十分です。
H3-2|承認フロー・権限設計
もう一つ、
この時期にやりがちなことがあります。
それが、
- 承認フロー
- 入力権限の細分化
- チェック工程の追加
です。
小規模では重くなる
小規模な現場では、
- 人が少ない
- 役割が重なっている
- 判断のスピードが武器
という特徴があります。
ここで承認を増やすと、
- 誰も承認できない
- 処理が滞る
- 「後でまとめてやろう」が増える
という状態になりやすいです。
止まる原因になる
承認フローは、
- 正確さを上げるため
- ミスを防ぐため
に導入されることが多いですが、
導入タイミングを間違えると、
**「止まる仕組み」**になります。
今は、
- 多少ズレても進める
- 後から調整できる
この状態を守る方が、
結果的に精度は上がります。
この第4回で大切なのは、
- ルールを完成させること
- 管理を固めること
ではありません。
「迷っても戻れる軸」を作った
それだけで十分です。
次の第5回では、
この状態を使って、
「じゃあ今、回っているって何?」
を言葉にしていきます。
ここから、
在庫管理は“管理”ではなく
運用の話に変わっていきます。
まとめ|ルールは少ないほど、強い
- 入出庫ルールは1本でいい
- 正しさより「戻れる場所」
- ここまで来れば、もう回り始めている
まとめ|ルールは少ないほど、強い
入出庫ルールは、
たくさん決める必要はありません。
1本あれば十分です。
大事なのは、
すべてを正しく処理することではなく、
迷ったときに戻れる場所があること。
基準点が1つ決まっていれば、
- 判断が止まらない
- 人による差が責めに変わらない
- ズレが「次に整えるヒント」になる
という状態が生まれます。
ここまで来ていれば、
在庫管理はもう「整えながら回す段階」に入っています。
ここまで読んだ方へ|在庫管理の「次の一歩」のご案内
ここまで読んでいただき、ありがとうございます
この講座では、「完璧を目指さない在庫管理」、 「現場を疲弊させない導入」、 「止まらない仕組みづくり」 を一貫してお伝えしてきました。
この講座の考え方は、アピス在庫管理システムの思想そのものです
実はこの講座でお話ししてきた考え方は、すべて 「アピス在庫管理システム」という小規模事業者向けの在庫管理システムを設計する中で生まれたものです。
- SKUや棚番を完璧に決めなくても始められる
- Excelからの段階導入を前提にできる
- 全数棚卸を強制しない(理想の一つとして扱う)
- ルールを重くせず、止まらない運用を優先する
その代わり、「小さな会社が、失敗せずに始められる」ことに本気で振り切っています。
ここまで読んで「うちも何とかしたい」と思った方へ
- 売り込みはしません(合わない場合は「やめた方がいい」とお伝えします)
- 今のやり方(Excel運用など)を否定しません
- 「導入するか迷っている」段階でも大丈夫です









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