在庫管理システムを入れる前に知っておいてほしい
「やってはいけない順番」と「失敗しない進め方」
本講座では、
アピス在庫管理システムでの実際の導入経験をベースに、
中小規模の現場でも無理なく進められる考え方を整理しています。
在庫管理システムを入れようとすると、
ほぼ必ずぶつかるのがこの疑問です。
「SKUって何?」
「JANコードと商品コードって何が違うの?」
「うちはどれを基準にすればいいの?」
ネットで調べると、
「SKUを正しく設計しましょう」
「JANコードを使うのが正解です」
「社内コードを廃止しましょう」
といった“正しそうな答え”が並びます。
でも、現場の立場で考えると、
どれもピンと来ないことが多いはずです。
この回では、
**「正解のコード体系」ではなく、
「混乱しない考え方」**を整理します。
不安の言語化
- SKU・JAN・商品コードの違いが分からない
- どれを主キーにすればいいのか決められない
- 後から設計ミスに気づくのが怖い
- 今のExcel管理のコード体系を壊していいのか不安
- 将来、商品点数が増えたら破綻しないか心配
こうした不安は、とても自然なものです。
責めない宣言
まず最初に、はっきり言っておきます。
SKU設計で失敗するのは、
能力の問題でも、理解力の問題でもありません。
多くの人が、
「最初から完璧なコード体系を作ろう」
としてしまうこと自体が、
混乱の原因になっています。
この講座では、
最初から完璧を目指さない設計を前提に話します。
今回のゴール
この回のゴールは、
「正解のコードを決めること」ではありません。
- SKU・JAN・商品コードの役割の違いを整理する
- どれを基準にするかの“考え方”を持つ
- 今の管理方法を壊さずに進める判断軸を持つ
ここまで腹落ちすれば、十分です。
H2-1|SKU・JAN・商品コードはそもそも何が違うのか
まずは、言葉の整理からいきます。
SKUとは
SKUは、
在庫管理上の最小単位のことです。
たとえば同じ商品でも、
- サイズ違い
- 色違い
- ロット違い
- セット品か単品か
これらは、在庫管理上は別物になります。
この「在庫として別管理すべき単位」がSKUです。
JANコードとは
JANコードは、
流通業界で共通に使われる商品識別コードです。
- 仕入れ
- 卸
- 小売
- POS
こうした外部とのやり取りで使われることが多く、
「世の中で一意に決まるコード」という性質があります。
商品コード(社内コード)とは
商品コードは、
自社の都合で決めた管理用コードです。
- 現場が覚えやすい
- 伝票と連動している
- Excel管理で既に使っている
こうした理由で作られていることがほとんどです。
ここまでを見ると、
すでにこう思った方もいるはずです。
「全部違う役割じゃない?」
はい、その通りです。
H2-2|「どれか一つに統一すべき」という考え方が混乱を生む
よくある失敗が、これです。
「JANコードをSKUに統一しましょう」
「社内コードはやめてSKU一本にしましょう」
一見、正しそうに聞こえます。
でも、現場ではこうなりがちです。
- JANがない商品がある
- ロット管理・セット品管理に対応できない
- 現場がコードを覚えられない
- 既存Excelとの整合が取れない
結果、
コード体系を変えたことで混乱が増える
という本末転倒が起こります。
H2-3|「役割で分けて持つ」という発想
ここで、発想を一度切り替えてみてください。
「コードは1種類でなければならない」
という前提を外す。
実務では、
- 外部連携用:JANコード
- 現場管理用:商品コード
- 在庫管理用:SKU
このように、
役割ごとにコードを持つほうが、
むしろ自然なケースが多いです。
H2-4|今のExcel管理を壊さずに進めるという選択肢
ここで大事なのが、これです。
今のExcel管理のコード体系を
無理に壊す必要はありません。
すでに、
- 商品コードが現場に定着している
- 伝票や帳票が商品コード前提になっている
- 担当者が商品コードで運用している
こうした状態なら、
それを一度そのまま使うという選択は、
かなり合理的です。
最初から、
- SKUを新設し直す
- 既存コードを全廃する
こうした大工事をしなくても、
段階的に整理していくことは可能です。
H2-5|「将来の拡張」に耐える最低限の考え方
完璧な設計は不要ですが、
最低限これだけは意識しておくと、
後から詰みにくくなります。
- 同じ商品コードを
サイズ違い・色違いで使い回さない - ロット管理が必要になりそうな商品は、
SKU分離できる余地を残しておく - セット品を扱う可能性があるなら、
単品SKUとの関係を壊さない設計にする
ここも、
「今すぐ全部対応する」必要はありません。
余地を残す、
それだけで十分です。
考え方/判断軸
ここまでの話を、
一つの判断軸にまとめるとこうなります。
・コードは役割で分けてもいい
・最初から統一しなくていい
・今の運用を壊さない
・将来の余地だけ残す
・完璧を目指さない
これが、この回で一番大事なポイントです。
なぜそう考えるか
在庫管理で一番コストが高いのは、
「システムの設計」ではありません。
現場の混乱と手戻りです。
コード体系を変えることで、
- 入力ミスが増える
- 現場がついて来なくなる
- 二重管理が発生する
- Excelに戻りたくなる
こうしたことが起きると、
せっかく導入した仕組み自体が
止まってしまいます。
だからこそ、
今の運用を壊さない設計が、
結果的に一番安全なのです。
ここまで読んだ方へ|在庫管理の「次の一歩」のご案内
ここまで読んでいただき、ありがとうございます
この講座では、「完璧を目指さない在庫管理」、 「現場を疲弊させない導入」、 「止まらない仕組みづくり」 を一貫してお伝えしてきました。
この講座の考え方は、アピス在庫管理システムの思想そのものです
実はこの講座でお話ししてきた考え方は、すべて 「アピス在庫管理システム」という小規模事業者向けの在庫管理システムを設計する中で生まれたものです。
- SKUや棚番を完璧に決めなくても始められる
- Excelからの段階導入を前提にできる
- 全数棚卸を強制しない(理想の一つとして扱う)
- ルールを重くせず、止まらない運用を優先する
その代わり、「小さな会社が、失敗せずに始められる」ことに本気で振り切っています。
ここまで読んで「うちも何とかしたい」と思った方へ
- 売り込みはしません(合わない場合は「やめた方がいい」とお伝えします)
- 今のやり方(Excel運用など)を否定しません
- 「導入するか迷っている」段階でも大丈夫です
👤 筆者プロフィール|DXジュン(Apice Technology 代表)
「tecn」を運営している DXジュン です。
Apice Technology株式会社の代表として、20年以上にわたり
Web制作・業務改善DX・クラウドシステム開発に携わっています。
普段は企業の現場課題に寄り添いながら、
在庫管理システム/予約システム/求人管理/受発注システム/クラウドソーシング など、
中小企業の仕事を“ラクにするツール”を作っています。
tecn では、業務改善のリアルや、Webシステムの仕組み、 そして「技術が生活をちょっと楽しくしてくれる」ような 日常×デジタルのヒントをゆるく発信しています。
現在の注力テーマは 在庫管理のDX化。 SKU・JAN・棚卸・リアルタイム連携など、 現場で役立つ情報を発信しつつ、 自社のクラウド在庫管理システムも開発・提供しています。
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記事があなたの仕事や生活のヒントになれば嬉しいです。 コメント・ご相談があればお気軽にどうぞ!





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