在庫回転率の計算式と計算方法をわかりやすく解説|現場で使える実務ガイド|在庫管理
在庫回転率の計算式や計算方法を知りたい方へ。
在庫回転率は、在庫がどれだけ効率よく回っているかを示す重要な指標です。
式自体はシンプルですが、実務で正しく計算し、意味を読み取ることが大切です。
この記事では、
- 在庫回転率の基本計算式
- 平均在庫高の求め方
- 実務での具体的な計算方法
- 数字の読み取り方
をわかりやすく解説します。
まずは正しく計算することから始めましょう。
H2-1|在庫回転率の計算式【まずは結論】
「在庫回転率 計算式」と検索している方は、まず式を知りたいはずです。
ここでは結論から示します。
H3|在庫回転率の基本計算式
在庫回転率の基本計算式は、次のとおりです。
在庫回転率 = 売上原価 ÷ 平均在庫高
とてもシンプルな式です。
- 売上原価:その期間に実際に販売した商品の原価合計
- 平均在庫高:その期間に保有していた在庫金額の平均
この数字が示すのは、
「在庫が一定期間で何回入れ替わったか」
という“在庫の動きの速さ”です。
たとえば、在庫回転率が「6回」であれば、
その期間中に在庫が6回入れ替わったことを意味します。
H3|平均在庫高の求め方
在庫回転率の計算でつまずきやすいのが、「平均在庫高」の考え方です。
基本的な求め方は次の通りです。
平均在庫高 =(期首在庫高 + 期末在庫高)÷ 2
たとえば、
- 期首在庫:100万円
- 期末在庫:120万円
の場合、
平均在庫高は
(100万円+120万円)÷2=110万円
となります。
より正確に求めたい場合は、
- 月次平均を出す
- 毎月の在庫金額を平均する
といった方法もあります。
ただし、小規模事業者や実務レベルでは、
まずは「期首+期末÷2」で十分なケースが多いです。
重要なのは、毎回同じ基準で計算することです。
H3|月次・年次で計算するときの違い
在庫回転率は、
- 月次
- 四半期
- 年次
など、さまざまな期間で算出できます。
考え方は同じですが、期間によって意味が変わります。
■ 月次で計算する場合
- 短期の在庫の動きを把握できる
- 仕入・販売の変動を確認できる
- 季節要因の影響が見えやすい
日々の運用改善を考えるなら、月次管理が有効です。
■ 年次で計算する場合
- 会社全体の在庫効率を把握できる
- 他社との比較がしやすい
- 経営指標として使いやすい
経営判断や金融機関への説明などでは、年次の回転率がよく使われます。
🔎 重要なポイント
月次でも年次でも、式は同じです。
違うのは「期間」と「目的」です。
- 現場改善なら月次
- 経営分析なら年次
というように、目的に合わせて使い分けることが大切です。
H2-2|在庫回転率の具体的な計算方法【実務例で解説】
ここでは、実際の数値を使って「在庫回転率の計算方法」を具体的に解説します。
式を知っていても、
実務でどう当てはめるのかが分からなければ意味がありません。
現場目線で整理していきましょう。
H3|例題:月商500万円・在庫100万円の場合
まずはシンプルな例で考えます。
- 月商:500万円
- 売上原価:350万円(※粗利30%と仮定)
- 期首在庫:100万円
- 期末在庫:100万円
この場合、
平均在庫高は
(100万円+100万円)÷2=100万円
となります。
そして在庫回転率は、
350万円 ÷ 100万円 = 3.5回(/月)
つまり、
その月に在庫が約3.5回入れ替わった
という意味になります。
これを年換算すると、
3.5回 × 12ヶ月 = 42回/年
という考え方もできます。
ここで大切なのは、
- 売上“高”ではなく「売上原価」を使うこと
- 在庫は“平均”で考えること
この2点です。
H3|Excelで計算する場合の考え方(コードなし)
在庫回転率は、Excelで簡単に計算できます。
基本的な考え方は次の通りです。
- 売上原価を入力
- 期首在庫と期末在庫を入力
- 平均在庫高を計算
- 売上原価 ÷ 平均在庫高
という流れです。
たとえば、
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上原価 | 350万円 |
| 期首在庫 | 100万円 |
| 期末在庫 | 120万円 |
平均在庫高は、
(100+120)÷2=110万円
在庫回転率は、
350 ÷ 110 = 約3.18回
となります。
ポイントは、
- 月次で毎月同じフォーマットを使う
- 手入力ミスを防ぐ
- 期間を必ず明記する
ことです。
また、在庫回転率だけでなく、
- 在庫回転日数(365 ÷ 回転率)
- 在庫金額の推移
も一緒に見ると、より実務的になります。
H3|よくある計算ミスと注意点
在庫回転率の計算でよくあるミスを整理します。
① 売上高で割ってしまう
正しくは「売上原価」です。
売上高で計算すると、回転率が過大になります。
② 平均在庫を使っていない
期末在庫だけで割ってしまうケースがあります。
在庫は期間中に変動するため、
平均値を使うのが基本です。
③ 期間を混同している
- 月次の売上原価
- 年次の在庫
このように期間がズレると、意味のない数字になります。
必ず同じ期間で計算します。
④ 数字だけを見て判断する
回転率が高いから良い、低いから悪い。
これは単純すぎます。
- 仕入サイクル
- 業種特性
- 季節変動
によって適正値は変わります。
在庫回転率は「評価の入口」であり、
単独で経営判断を下す指標ではありません。
H2-3|在庫回転率はどう読み取る?数字の意味
在庫回転率は、計算すること自体が目的ではありません。
本当に重要なのは、その数字をどう読み取るかです。
同じ「3回」という数字でも、
- 業種
- 仕入サイクル
- 価格帯
- 季節要因
によって意味はまったく変わります。
ここでは、在庫回転率の“正しい見方”を整理します。
H3|回転率が高い=良いとは限らない
在庫回転率は「高いほど良い」と言われがちです。
確かに、
- 在庫が滞留していない
- キャッシュが寝ていない
- 商品がよく売れている
という意味では、プラスの指標です。
しかし、回転率が高すぎる場合には注意が必要です。
たとえば、
- 在庫を極端に減らしすぎている
- 欠品が頻発している
- 仕入回数が増えてコストが上がっている
といったケースです。
回転率が高いのに利益が伸びない場合、
その裏で機会損失や仕入コスト増が起きている可能性があります。
重要なのは、
回転率単体ではなく、売上・利益とセットで見ること
です。
H3|低い場合に考えるべきこと
在庫回転率が低い場合、
- 在庫が滞留している
- 売れない商品を抱えている
- 仕入量が多すぎる
といった可能性があります。
特に注意したいのは、
- 長期滞留在庫(動いていない商品)
- 仕入計画と販売計画のズレ
です。
回転率が低いからといって、
すぐに「値下げ」「仕入削減」と判断するのではなく、
- 商品構成は適切か
- 発注ロットは適正か
- 季節要因を考慮しているか
を確認する必要があります。
在庫回転率は“結果”であり、
原因は別の構造にあることが多いのです。
H3|業種によって目安が違う理由
在庫回転率に「絶対的な正解」はありません。
たとえば、
- コンビニや食品小売 → 回転率は高め
- 家電や家具 → 回転率は低め
- 製造業(原材料含む) → さらに複雑
扱う商品の単価や販売スピードによって、
適正な回転率は大きく変わります。
だからこそ、
他社の数字と単純比較するのは危険
なのです。
自社の過去データと比較すること、
同業他社の平均を参考程度に見ることが現実的です。
業種別の目安や改善の考え方については、
以下の記事で詳しく解説しています。
👉 在庫回転率とは?業績を左右する重要指標の計算方法と改善ポイント
(既存記事への内部リンク)
H2-4|在庫回転率を実務で活かす方法
在庫回転率は、計算することがゴールではありません。
本当の目的は、日々の運用改善に活かすことです。
ここでは、現場で使える実践的な視点を整理します。
H3|月次で追うのか、年次で見るのか
在庫回転率は、目的によって見る期間を変えるべき指標です。
■ 月次で追う場合
- 仕入れが適切か
- 在庫が増えすぎていないか
- 季節変動の影響はないか
といった「現場改善」に向いています。
特に小売業や在庫変動の大きい業種では、
月次管理が有効です。
月次で追うことで、
- 在庫が急に増えていないか
- 売れ筋が変わっていないか
といった兆候に早く気づくことができます。
■ 年次で見る場合
年次の在庫回転率は、
- 経営全体の在庫効率
- 他社比較
- 長期的なトレンド分析
に適しています。
金融機関や税理士との打ち合わせでも、
年次回転率はよく使われる指標です。
ポイントは、
月次は「改善」
年次は「評価」
という役割の違いを理解することです。
H3|在庫金額と連動させて考える
在庫回転率を見るときは、
必ず在庫金額とセットで確認しましょう。
たとえば、
- 回転率が変わっていない
- しかし在庫金額が増えている
この場合、在庫効率は悪化しています。
また、
- 回転率が上がった
- しかし売上が下がっている
というケースもあります。
数字だけを見ると改善しているように見えても、
実際には売れ筋を絞りすぎている可能性があります。
在庫回転率は、
「在庫量 × 売上スピード」のバランス指標
です。
金額・数量・売上の3点をセットで見ることが重要です。
H3|回転率だけで判断しない理由
在庫回転率は便利な指標ですが、万能ではありません。
たとえば、
- 利益率が高い商品
- 回転は遅いが安定して売れる商品
- 季節限定商品
こうした商品は、回転率だけでは評価できません。
また、極端に回転率を上げようとすると、
- 欠品リスクが高まる
- 小口仕入れでコスト増
- 現場の負担増加
といった副作用が出ることもあります。
重要なのは、
回転率を「改善目標」にするのではなく
「状態把握の指標」として使うこと
です。
まずは正しく計算し、
数字の変化を追い、
原因を探る。
その積み重ねが、在庫改善につながります。
H2-5|まとめ|まずは正しく計算することから始めよう
在庫回転率の計算式そのものは、とてもシンプルです。
在庫回転率 = 売上原価 ÷ 平均在庫高
難しい数式はありません。
Excelでもすぐに算出できます。
しかし本当に重要なのは、式そのものではありません。
計算式はシンプル
在庫回転率は、
- 売上原価
- 平均在庫高
この2つが分かれば計算できます。
まずは、
- 売上原価を正しく把握する
- 期首・期末在庫を正確に出す
- 同じ期間で計算する
この基本を徹底することが第一歩です。
数字がズレていれば、どんな分析も意味を持ちません。
重要なのは「構造理解」
在庫回転率は単なる計算問題ではなく、
在庫の構造を理解するための指標
です。
- なぜ回転率が下がったのか
- どの商品が滞留しているのか
- 仕入サイクルは適正か
こうした背景を考えることで、初めて意味を持ちます。
在庫回転率の定義や業種別の目安、改善の考え方については、
以下の記事でより詳しく解説しています。
👉 在庫回転率とは?業績を左右する重要指標の計算方法と改善ポイント
(既存「とは?」記事へ内部リンク)
改善は別ステップ
在庫回転率を計算できるようになったら、
次は「どう改善するか」という段階です。
ただし、改善は“勢い”で行うものではありません。
- 回転率だけを上げようとしない
- 在庫金額や利益率とセットで見る
- 商品構成や発注ルールを見直す
こうした構造的な視点が必要です。
在庫管理全体の設計や仕組みづくりについては、
こちらのピラー記事で体系的にまとめています。
👉 在庫管理がうまくいかないのは「人」ではなく「構造」
(在庫管理ピラーへ自然接続)





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