在庫管理システムを入れる前に知っておいてほしい
「やってはいけない順番」と「失敗しない進め方」
本講座では、
アピス在庫管理システムでの実際の導入経験をベースに、
中小規模の現場でも無理なく進められる考え方を整理しています。
第11回で、
「在庫はズレる前提でいい」
という話をしました。
第12回では、
「全数棚卸しを唯一解にしない」
という話をしました。
ここまで来ると、
次にほぼ必ず出てくるテーマがこれです。
「で、
このズレって
なんで起きたんですか?」「原因を潰さないと、
また同じことが起きませんか?」
とてもまっとうな疑問です。
でもここで、
多くの現場が
一気に空気を悪くします。
原因分析が、
“犯人探し”になる瞬間です。
この回では、
在庫差異の原因を
どう扱えばいいのかを、
現場が壊れない形で整理します。
不安の言語化
- 原因をちゃんと潰さないと
またズレそうで不安 - でも誰かを責める形に
なりそうで怖い - 差異報告が
面倒な空気になりそう - 改善ルールを作るほど
現場が重くなりそう - 結局、
形だけの再発防止で
終わりそう
こうした不安は、
とても自然なものです。
責めない宣言
まず最初に、
一番大事なことを言います。
在庫差異の原因分析は、
誰かを責めるための
作業ではありません。
むしろ、
「人はミスをする前提」
「現場は常に忙しい前提」
この2つを
ちゃんと認めたところからしか、
意味のある改善は生まれません。
この講座では、
“人を変えようとしない改善”
を前提に話します。
今回のゴール
この回のゴールは、
「完璧な再発防止策」を
作ることではありません。
- 差異の原因を
正しく“分類”できるようになる - 犯人探しをしない
思考軸を持つ - 軽い再発防止で
十分だと知る
ここまで腹落ちすれば十分です。
H2-1|そもそも、在庫差異の原因はほぼ決まっている
まず、
現実からいきましょう。
在庫差異の原因は、
だいたいこのどれかです。
- 入出庫の入力漏れ
- 入力タイミングのズレ
- 誤出庫・誤入庫
- 数え間違い
- 仮置きの未処理
- 例外対応の放置
ここで大事なのは、これです。
原因の9割は、
“よくあるやつ”です。
つまり、
ほぼ想定内の事故。
H2-2|「誰がやったか?」を探すと、全部壊れる
よくある地雷パターンが、これです。
「で、
これ誰がやったの?」
この一言で、
現場は一気に黙ります。
- 正直に報告しなくなる
- ミスを隠すようになる
- 形式だけの改善になる
結果、
差異は減らなくなります。
H2-3|差異の原因は「人」ではなく「状況」にある
ここで、
視点を切り替えてください。
ミスの原因は、
人ではなく
“その人が置かれた状況”です。
たとえば――
- 忙しすぎた
- 急ぎ案件だった
- ルールが曖昧だった
- 仮置き棚が満杯だった
- 入力画面が面倒だった
このどれかに
ほぼ当てはまります。
H2-4|現実的な原因の「分類のしかた」
ここが、
この回の核心です。
原因は、
こう分類するだけで十分です。
① ルールが曖昧だった
- いつ入力すべきか
決まっていなかった - 仮置きの扱いが
決まっていなかった
② ルールはあったが、守れなかった
- 忙しすぎた
- 人手が足りなかった
- 作業が集中した
③ ルール自体が現実に合っていなかった
- 面倒すぎた
- 時間がかかりすぎた
- 現場動線とズレていた
H2-5|再発防止は「軽くていい」
ここ、
めちゃくちゃ大事です。
再発防止策は、
軽くていいです。
よくある失敗が、これです。
- チェック項目を増やす
- 承認フローを増やす
- 書類を増やす
結果、
次のミスが増えます。
現実的な再発防止の例
- 仮置き棚を1つ増やす
- 入力画面を
開きやすい位置にする - 入力タイミングを
「作業直後」に統一する
このレベルで十分です。
考え方/判断軸
ここまでの話を、
一つの判断軸にまとめます。
・差異はほぼ想定内
・犯人探しをしない
・原因は「状況」で見る
・分類するだけで十分
・再発防止は軽くていい
これが、
第13回で一番大事なポイントです。
なぜそう考えるか
在庫管理で一番怖いのは、
ミスそのものではありません。
**「ミスを報告しなくなること」**です。
- 怒られる
- 面倒なことになる
- 空気が悪くなる
こうなると、
差異は“見えなく”なります。
だからこそ、
ミスを
出してもいい空気を作る。
これが、
在庫管理を続けるための
最重要条件です。
解決しすぎない
この回では、
- 差異レポートの書式
- 原因分析テンプレ
- 再発防止フォーマット
こうした具体論までは、
あえて踏み込みません。
それらは、
現場ごとに違いすぎる
からです。
悩ましさの言語化
もしかすると、
ここまで読んでも
こう思っているかもしれません。
「それでも、
ちゃんと原因潰さないと
ダメなんじゃ…?」「甘やかしてるって
言われそう…」
その感覚は、正しいです。
だからこそ、
完璧な再発防止より、
続けられる改善。
この発想が効いてきます。
次回へつなぐ
次回(第14回)では、
この話の“組織版”を扱います。
「在庫管理を
属人化させないには
どうすればいい?」
人が変わっても
回る運用の作り方です。
まとめ
在庫差異の原因は、
ほぼ想定内のものばかりです。
犯人探しをしても、
差異は減りません。
大事なのは、
人ではなく“状況”を見ること。
原因を分類し、
軽い再発防止を打つ。
それだけで、
在庫管理は十分に改善していきます。
今日の安心
在庫差異が起きたからといって、
あなたの運用は失敗ではありません。
差異を
ちゃんと“話題にできている”なら、
その現場は健全です。
ここまで読んだ方へ|在庫管理の「次の一歩」のご案内
ここまで読んでいただき、ありがとうございます
この講座では、「完璧を目指さない在庫管理」、 「現場を疲弊させない導入」、 「止まらない仕組みづくり」 を一貫してお伝えしてきました。
この講座の考え方は、アピス在庫管理システムの思想そのものです
実はこの講座でお話ししてきた考え方は、すべて 「アピス在庫管理システム」という小規模事業者向けの在庫管理システムを設計する中で生まれたものです。
- SKUや棚番を完璧に決めなくても始められる
- Excelからの段階導入を前提にできる
- 全数棚卸を強制しない(理想の一つとして扱う)
- ルールを重くせず、止まらない運用を優先する
その代わり、「小さな会社が、失敗せずに始められる」ことに本気で振り切っています。
ここまで読んで「うちも何とかしたい」と思った方へ
- 売り込みはしません(合わない場合は「やめた方がいい」とお伝えします)
- 今のやり方(Excel運用など)を否定しません
- 「導入するか迷っている」段階でも大丈夫です
👤 筆者プロフィール|DXジュン(Apice Technology 代表)
「tecn」を運営している DXジュン です。
Apice Technology株式会社の代表として、20年以上にわたり
Web制作・業務改善DX・クラウドシステム開発に携わっています。
普段は企業の現場課題に寄り添いながら、
在庫管理システム/予約システム/求人管理/受発注システム/クラウドソーシング など、
中小企業の仕事を“ラクにするツール”を作っています。
tecn では、業務改善のリアルや、Webシステムの仕組み、 そして「技術が生活をちょっと楽しくしてくれる」ような 日常×デジタルのヒントをゆるく発信しています。
現在の注力テーマは 在庫管理のDX化。 SKU・JAN・棚卸・リアルタイム連携など、 現場で役立つ情報を発信しつつ、 自社のクラウド在庫管理システムも開発・提供しています。
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記事があなたの仕事や生活のヒントになれば嬉しいです。 コメント・ご相談があればお気軽にどうぞ!





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