在庫管理システムを入れる前に知っておいてほしい
「やってはいけない順番」と「失敗しない進め方」
本講座では、
アピス在庫管理システムでの実際の導入経験をベースに、
中小規模の現場でも無理なく進められる考え方を整理しています。
第11回で、
「在庫はズレる前提でいい」
という話をしました。
そして、
ズレたときは――
- 影響範囲を絞って
- 部分的に数え直して
- システムを合わせにいく
という、
**“軽い立て直し方”**がある、
という話もしました。
ここまで来ると、
次にほぼ必ず出てくる疑問がこれです。
「じゃあ、棚卸しって
いつ・どの範囲で
やるのが正解なんですか?」「やっぱり
定期的に全数棚卸し
しないとダメなんでしょうか?」
この回では、
全数棚卸しを“唯一解”にしない
という前提で、
現実的な棚卸し運用の考え方を整理します。
不安の言語化
- 全数棚卸しを
定期的にやらないと
在庫管理として失格な気がする - 棚卸しをサボったら、
どんどんズレていきそうで怖い - 部分棚卸しだけで
本当に大丈夫なのか不安 - 棚卸しのたびに
現場が止まるのがつらい - 正しい頻度や範囲が
分からない
こうした不安は、
とても自然なものです。
責めない宣言
まず最初に、
一番大事なことを言います。
全数棚卸しを
定期的にやっていないからといって、
あなたの在庫管理が
失敗しているわけではありません。
むしろ、
それを無理にやろうとして
現場が疲弊しているケースの方が、
圧倒的に多いです。
この講座では、
**「続けられる棚卸し」**を
前提に話します。
今回のゴール
この回のゴールは、
「正解の棚卸し頻度」を
決めることではありません。
- 全数棚卸し以外の選択肢を知る
- 棚卸しの“役割”を正しく理解する
- 自社に合う棚卸し運用を
考える判断軸を持つ
ここまで腹落ちすれば十分です。
H2-1|そもそも棚卸しは何のためにあるのか
まず、
棚卸しの役割を
シンプルに整理します。
棚卸しは、
在庫を正確にするための作業
ではありません。
正確にするのは、
**「ズレを発見すること」**です。
- どの商品がズレやすいか
- どの棚がズレやすいか
- どんなタイミングでズレるか
これを知るための作業が、
棚卸しです。
H2-2|「全数棚卸しが正解」という思い込み
よくある思い込みが、これです。
「棚卸し=全数棚卸し」
「定期的に全数やらないとダメ」
一見、正しそうに聞こえます。
でも実務ではこうなりがちです。
- 現場が止まる
- 人手が足りない
- 準備が大変
- 精神的にしんどい
結果、
年に1回すら
まともにできなくなる
という状態に陥ります。
H2-3|全数棚卸しが向いているケース
誤解しないでほしいのは、
全数棚卸し自体を否定しているわけではない
という点です。
全数棚卸しが
向いているケースもあります。
たとえば――
- システム導入の初期
- 在庫管理を一度リセットしたいとき
- 決算対応で必要なとき
- ズレが全体に広がっているとき
こういう場面では、
全数棚卸しは
とても有効です。
H2-4|現実的な棚卸しの選択肢
ここからが、
この回の核心です。
棚卸しには、
全数以外にも
いくつも選択肢があります。
① 部分棚卸し(商品別)
- よく動く商品だけ
- ズレやすい商品だけ
- クレームが出た商品だけ
こうした商品だけを
定期的に数えるやり方です。
② 部分棚卸し(棚番別)
- 出入りが多い棚だけ
- 仮置きが多い棚だけ
場所ベースで
チェックするやり方です。
③ サイクルカウント
- 毎日ちょっとずつ
- 週に数棚だけ
「棚卸しをイベントにしない」
という考え方です。
H2-5|「どのやり方が正解か?」ではなく「何を守りたいか?」
ここで、
一番大事な視点を出します。
棚卸しに
正解の頻度や範囲はありません。
大事なのは、
何を守りたいかです。
たとえば――
- 欠品を絶対に出したくない
- 高額商品だけは正確にしたい
- クレームだけは防ぎたい
- 現場を止めたくない
この優先順位によって、
やるべき棚卸しは変わります。
考え方/判断軸
ここまでの話を、
一つの判断軸にまとめます。
・棚卸しはズレを見つける作業
・全数棚卸しは唯一解ではない
・部分棚卸しで十分なケースが多い
・続けられる形が正解
・何を守りたいかで決める
これが、
第12回で一番大事なポイントです。
なぜそう考えるか
在庫管理で一番意味がないのは、
これです。
「一度きりの完璧な棚卸し」
- めちゃくちゃ大変
- 二度とやりたくなくなる
- 次のズレで全部崩れる
これでは、
何の意味もありません。
それよりも、
軽い棚卸しを
何度も回す。
この方が、
圧倒的に実務向きです。
解決しすぎない
この回では、
- 棚卸しスケジュール例
- 実際の運用テンプレ
- システム操作方法
こうした具体論までは、
あえて踏み込みません。
それらは、
「自社の現場に合わせて作るべきもの」
だからです。
悩ましさの言語化
もしかすると、
ここまで読んでも
こう思っているかもしれません。
「部分棚卸しだけで、
本当に大丈夫なの…?」「全数やらないと、
どこかで破綻しそう…」
その感覚は、正しいです。
だからこそ、
全数棚卸しは
“いつでも使える最後のカード”
として残しておく。
この考え方が効いてきます。
次回へつなぐ
次回(第13回)では、
棚卸しとセットで
必ず出てくるテーマを扱います。
「ズレの原因は、
どうやって見つける?」「再発防止って、
どこまでやるべき?」
“責めない差異分析”
という考え方を整理します。
まとめ(約200字)
棚卸しは、
在庫を正確にする作業ではなく、
ズレを見つけるための作業です。
全数棚卸しは
唯一解ではありません。
部分棚卸しや
サイクルカウントでも、
十分に運用は回せます。
大事なのは、
続けられる形を選ぶこと。
何を守りたいかを軸に、
自社に合う棚卸し運用を
作っていくことです。
ここまで読んだ方へ|在庫管理の「次の一歩」のご案内
ここまで読んでいただき、ありがとうございます
この講座では、「完璧を目指さない在庫管理」、 「現場を疲弊させない導入」、 「止まらない仕組みづくり」 を一貫してお伝えしてきました。
この講座の考え方は、アピス在庫管理システムの思想そのものです
実はこの講座でお話ししてきた考え方は、すべて 「アピス在庫管理システム」という小規模事業者向けの在庫管理システムを設計する中で生まれたものです。
- SKUや棚番を完璧に決めなくても始められる
- Excelからの段階導入を前提にできる
- 全数棚卸を強制しない(理想の一つとして扱う)
- ルールを重くせず、止まらない運用を優先する
その代わり、「小さな会社が、失敗せずに始められる」ことに本気で振り切っています。
ここまで読んで「うちも何とかしたい」と思った方へ
- 売り込みはしません(合わない場合は「やめた方がいい」とお伝えします)
- 今のやり方(Excel運用など)を否定しません
- 「導入するか迷っている」段階でも大丈夫です
👤 筆者プロフィール|DXジュン(Apice Technology 代表)
「tecn」を運営している DXジュン です。
Apice Technology株式会社の代表として、20年以上にわたり
Web制作・業務改善DX・クラウドシステム開発に携わっています。
普段は企業の現場課題に寄り添いながら、
在庫管理システム/予約システム/求人管理/受発注システム/クラウドソーシング など、
中小企業の仕事を“ラクにするツール”を作っています。
tecn では、業務改善のリアルや、Webシステムの仕組み、 そして「技術が生活をちょっと楽しくしてくれる」ような 日常×デジタルのヒントをゆるく発信しています。
現在の注力テーマは 在庫管理のDX化。 SKU・JAN・棚卸・リアルタイム連携など、 現場で役立つ情報を発信しつつ、 自社のクラウド在庫管理システムも開発・提供しています。
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記事があなたの仕事や生活のヒントになれば嬉しいです。 コメント・ご相談があればお気軽にどうぞ!





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