在庫管理システムを入れる前に知っておいてほしい
「やってはいけない順番」と「失敗しない進め方」
本講座では、
アピス在庫管理システムでの実際の導入経験をベースに、
中小規模の現場でも無理なく進められる考え方を整理しています。
商品マスターを最低限で作って、
「とりあえず在庫管理を回し始める」。
ここまで来ると、
次にほぼ必ず出てくる悩みがこれです。
「カテゴリって、
最初からちゃんと決めないとダメですか?」「棚番やロケーションって、
いつ決めるのが正解なんでしょうか?」
ネットを見ると、
- 棚番は最初に設計すべき
- ロケーション管理が重要
- カテゴリは階層構造で作るべき
といった“正しそうな話”が並びます。
でも、
第6回〜第8回までの流れを踏まえると、
こう思いませんか?
「また準備が終わらなくなるやつでは…?」
この回では、
**「後回しにしていい設計」と
「最初に決めた方がいい設計」**を、
不安が残らない形で整理します。
不安の言語化
- カテゴリ設計を間違えたら
後から直せなくなる気がする - 棚番を最初に決めないと
在庫管理が破綻しそうで怖い - ロケーション管理を
最初からやらないと意味がない気がする - 物理倉庫と
システムの設計を合わせきれる自信がない - 今決めないと、
後で地獄を見る気がする
こうした不安は、
とても自然なものです。
責めない宣言
まず最初に、
はっきり言っておきます。
カテゴリや棚番の設計で
迷うのは、あなたのせいではありません。
多くの人が、
「最初に完璧な倉庫設計をしよう」
としてしまうこと自体が、
混乱の原因になっています。
この講座では、
最初から完璧に決めない設計を前提に話します。
今回のゴール
この回のゴールは、
「正解の棚番体系を作ること」ではありません。
- 後回しにしていいものが分かる
- 最初に決めた方がいいものが分かる
- 今の運用を壊さない判断軸を持つ
ここまで腹落ちすれば十分です。
H2-1|そもそもカテゴリ・棚番・ロケーションは何のためにあるのか
まず、
それぞれの役割を
シンプルに整理します。
カテゴリの役割
- 商品を大まかに分類する
- 一覧や検索をしやすくする
- 管理上の“くくり”を作る
カテゴリは、
厳密である必要はありません。
棚番の役割
- 商品の保管場所を特定する
- ピッキングを楽にする
- 迷子在庫を減らす
棚番は、
「どこにあるか」を分かるようにする
ためのものです。
ロケーション管理の役割
- 棚番を構造的に扱う
- 倉庫全体の配置を把握する
- 動線を最適化する
ロケーション管理は、
棚番を“体系化”するための考え方です。
H2-2|「最初から全部設計すべき」という思い込み
よくある思い込みが、これです。
「カテゴリも棚番もロケーションも、
最初にちゃんと決めないと
在庫管理は失敗する」
一見、正しそうに聞こえます。
でも、実務ではこうなりがちです。
- 倉庫レイアウトが固まらない
- 将来の拡張が読めない
- 現場の動線がまだ安定していない
- 商品点数が増減する
結果、
設計だけが延々と終わらない
という状態に陥ります。
H2-3|後回しにしていい設計
ここで、
ハードルを一度下げてください。
次のものは、
最初から完璧に決めなくて大丈夫です。
① カテゴリの階層構造
- 大カテゴリ・中カテゴリ・小カテゴリ
- 何階層にするか
- 将来の拡張を見越した設計
これらは、
運用しながら整えた方が、
むしろ現実に合いやすいです。
② 棚番の命名ルール
- A-01-03 みたいな形式にするか
- 数字だけにするか
- 英字+数字にするか
こうした形式論は、
後からでも簡単に揃えられます。
③ ロケーションの体系化
- ゾーン分け
- 列・段・棚の構造
- 動線最適化
これらは、
実際の物量と動きが見えてからで十分です。
H2-4|最初に決めた方がいい設計
一方で、
これだけは最初に
ある程度決めておいた方が安全です。
① 「1商品=1棚番」なのか
- 1つの商品を
複数棚に分けるのか - 1棚に1商品で固定するのか
ここが曖昧だと、
後から運用が破綻しやすくなります。
② 空き棚の扱い方
- 空き棚をどう管理するか
- 仮置きは許すのか
- 未割当棚をどう表現するか
このルールがないと、
「とりあえず置き」が増えて、
迷子在庫が発生します。
③ 移動時の扱い
- 商品を移動したら
システムも更新するのか - 一時移動はどう扱うのか
ここも、
最初に決めておかないと、
棚番情報がすぐズレます。
H2-5|今の倉庫運用を壊さない、という考え方
第6回〜第8回と同じ思想が、
ここでも効いてきます。
今の倉庫運用を
無理に壊さなくていい。
すでに、
- 倉庫内に何となくの配置ルールがある
- 現場の人が場所を覚えている
- 「だいたいあそこ」に置いている
こうした状態なら、
それを一度そのまま使う
という判断は、とても合理的です。
棚番設計は、
「正解を作ること」ではなく、
「現場の動きとズレないこと」
の方が大事です。
考え方/判断軸
ここまでの話を、
一つの判断軸にまとめます。
・カテゴリは後から整えていい
・棚番の形式は後回しでいい
・ロケーション体系化も後回しでいい
・でも運用ルールだけは最初に決める
・今の倉庫運用を壊さない
これが、
第9回で一番大事なポイントです。
なぜそう考えるか
在庫管理導入で、
またしても一番多い失敗がこれです。
「設計が終わらない」
棚番やロケーションを
完璧に作ろうとするほど、
- 現場の動きとズレる
- 将来変更が必要になる
- 作業量が膨れ上がる
結果、
導入そのものが止まります。
だからこそ、
“最低限のルールだけ決めて回す”
という順番が、
一番現実的なのです。
解決しすぎない
この回では、
- 棚番フォーマット例
- ロケーション設計テンプレ
- 倉庫レイアウト図
こうした具体論までは、
あえて踏み込みません。
それらは、
「運用フェーズ」で
初めて必要になる話
だからです。
悩ましさの言語化
もしかすると、
ここまで読んでも
こう思っているかもしれません。
「適当に決めて、
ぐちゃぐちゃにならない?」「後回しにしすぎて、
結局やらなくなるんじゃ…」
その感覚は、正しいです。
だからこそ、
- 完璧に作らない
- でも最低限のルールだけは決める
このバランスが効いてきます。
次回へつなぐ
次回(第10回)では、
ここまでの話を
実務に一段近づけたテーマを扱います。
「入出庫のルールは
いつ、どう決めるべき?」
商品マスター、SKU、棚番。
それらが揃っても、
入出庫ルールが曖昧だと
在庫はすぐズレます。
まとめ
カテゴリ・棚番・ロケーションは、
最初から完璧に設計する必要はありません。
後回しにしていいものと、
最初に決めた方がいいものがあります。
大事なのは、
現場の運用を壊さないことです。
最低限のルールだけ決めて回し、
使いながら整えていく。
それが、失敗しにくい導入の進め方です。
今日の安心
「最初に全部決めないとダメ」
という思い込みを、
今日ここで捨てて大丈夫です。
今の倉庫運用を活かしたままでも、
在庫管理は前に進められます。
ここまで読んだ方へ|在庫管理の「次の一歩」のご案内
ここまで読んでいただき、ありがとうございます
この講座では、「完璧を目指さない在庫管理」、 「現場を疲弊させない導入」、 「止まらない仕組みづくり」 を一貫してお伝えしてきました。
この講座の考え方は、アピス在庫管理システムの思想そのものです
実はこの講座でお話ししてきた考え方は、すべて 「アピス在庫管理システム」という小規模事業者向けの在庫管理システムを設計する中で生まれたものです。
- SKUや棚番を完璧に決めなくても始められる
- Excelからの段階導入を前提にできる
- 全数棚卸を強制しない(理想の一つとして扱う)
- ルールを重くせず、止まらない運用を優先する
その代わり、「小さな会社が、失敗せずに始められる」ことに本気で振り切っています。
ここまで読んで「うちも何とかしたい」と思った方へ
- 売り込みはしません(合わない場合は「やめた方がいい」とお伝えします)
- 今のやり方(Excel運用など)を否定しません
- 「導入するか迷っている」段階でも大丈夫です
👤 筆者プロフィール|DXジュン(Apice Technology 代表)
「tecn」を運営している DXジュン です。
Apice Technology株式会社の代表として、20年以上にわたり
Web制作・業務改善DX・クラウドシステム開発に携わっています。
普段は企業の現場課題に寄り添いながら、
在庫管理システム/予約システム/求人管理/受発注システム/クラウドソーシング など、
中小企業の仕事を“ラクにするツール”を作っています。
tecn では、業務改善のリアルや、Webシステムの仕組み、 そして「技術が生活をちょっと楽しくしてくれる」ような 日常×デジタルのヒントをゆるく発信しています。
現在の注力テーマは 在庫管理のDX化。 SKU・JAN・棚卸・リアルタイム連携など、 現場で役立つ情報を発信しつつ、 自社のクラウド在庫管理システムも開発・提供しています。
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記事があなたの仕事や生活のヒントになれば嬉しいです。 コメント・ご相談があればお気軽にどうぞ!





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