バーコード 読み取れない 原因|在庫管理で多い設定ミスとは
バーコードを読み取っているはずなのに、
「反応しない」「数字が違う」「在庫が合わない」——
そんなトラブルに心当たりはありませんか?
実は、バーコードが読み取れない原因の多くは
機器の故障ではなく、在庫管理側の“設定ミス” にあります。
特に現場では、
「今まで動いていたから大丈夫」
「読み取れているから問題ない」
という思い込みが、トラブルを見えにくくしてしまいがちです。
この記事では、在庫管理の視点から
バーコードが読み取れなくなる典型的な原因 と、
現場でよく起きている設定ミス を整理して解説します。
原因を正しく切り分けることで、無駄な再設定や買い替えを防ぐことができます。
H2-1|バーコードが「読み取れない」と感じる典型的な状況
バーコードがうまく使えないとき、
多くの現場ではまず「機械が壊れているのでは?」と考えがちです。
しかし実際には、
「読み取れない」と感じている状況は大きく2種類に分かれます。
H3-1|まったく反応しないケース
これは、誰が見ても「読めていない」と分かる状態です。
- バーコードをスキャンしても何も入力されない
- ピッという音が鳴らない
- ランプが点灯・点滅しない
この場合、現場では次のような判断がされがちです。
「バーコードリーダーが壊れた」
「電池切れかもしれない」
「このバーコード自体がダメなのでは?」
もちろん、
電源・接続・物理故障が原因のこともあります。
ただし在庫管理の現場では、
実は「設定や使い方の問題」で反応しないケースも少なくありません。
- 接続先の端末が違う
- 入力先のアプリがフォーカスされていない
- Bluetooth接続が切れている
👉
この段階で「機器トラブル」と決めつけてしまうと、
本当の原因にたどり着けなくなります。
H3-2|読み取れているのに「おかしい」ケース
在庫管理でより厄介なのがこちらです。
見た目上はバーコードを読めているのに、
結果が「おかしい」状態です。
- 数字が途中までしか入力されない
- 13桁のはずなのに桁が足りない
- 数字の前後に不要な文字が入る
- 想定と違う文字(全角・記号など)が入力される
この状態でも、現場ではこう言われがちです。
「読めてはいるから問題ない」
「とりあえず入力されているし…」
しかし在庫管理では、
この“おかしい読み取り”が後から大きなトラブルになります。
- 商品が別物として登録される
- JANコード違いに気づけない
- 棚卸で数量が合わなくなる
👉
「反応しない」よりも、「中途半端に読めている」方が危険
というのが在庫管理の現場あるあるです。
H2-2|機器故障ではなく「設定ミス」が原因である理由

バーコードがうまく読み取れないとき、
真っ先に疑われるのがバーコードリーダー本体です。
しかし在庫管理の現場で起きているトラブルの多くは、
**機器そのものではなく「設定や受け側の問題」**で説明できます。
H3-1|バーコードリーダーは入力装置にすぎない
まず押さえておきたい前提があります。
**バーコードリーダーは「入力装置」**です。
役割としては、キーボードやテンキーと本質的に変わりません。
- バーコードを読む
- → 文字列(数字・英字)を入力する
それ以上のことは、基本的に何も判断していません。
つまり、
- どの文字種で入力されるか
- どこに入力されるか
- 入力された値が正しいか
これらはすべて
受け側(Excel・アプリ・システム)の設定次第です。
👉
バーコードリーダーが「間違った文字を入れている」のではなく、
「その文字をどう扱うか」を決めているのは在庫管理側
という認識が重要です。
H3-2|在庫管理側の設定が結果を左右する
在庫管理で「読み取れない」「おかしい」と感じるケースの多くは、
次のような設定ミスが重なって起きています。
■ 文字種の問題
- 半角前提なのに全角で入る
- 数字のみ想定なのに英字が混じる
■ 桁数の問題
- 13桁JANを想定していない
- 桁数チェックがなく途中で切れる
■ 入力先の問題
- カーソルが別セル・別項目にある
- 読み取り先が意図しない入力欄になっている
さらに厄介なのが、
商品マスタ設計との不整合です。
- JANコードをキーにしているつもりが、実際は文字列扱い
- 同一商品でも表記揺れが許容されている
- バーコード入力時のチェックが存在しない
この状態では、
バーコードが正しく読めていても
在庫管理としては「間違った登録」が行われます。
👉
「読めているのに在庫が合わない」
という現象は、ここで発生します。
👉 原因切り分けの前提をここで固定する
ここまでのポイントを整理すると、
- バーコードリーダーは入力装置
- 問題の多くは受け側の設定
- 在庫管理の設計次第で結果が変わる
という構造になります。
つまり、
いきなり機器交換や買い替えを検討する前に、
設定と運用を疑う必要があるということです。
H2-3|在庫管理で特に多いバーコード設定ミス
バーコードが「読み取れない」「おかしい」と感じる原因の多くは、
実はかなり基本的な設定ミスです。
ただし厄介なのは、
その場では気づきにくく、後から在庫トラブルとして噴き出す点にあります。
ここでは、在庫管理の現場で特に多い2つの設定ミスを整理します。
H3-1|文字種・全角半角・改行コードの問題
最も頻発するのが、文字種に関するトラブルです。
■ 全角数字になってしまう
- 画面上では同じ数字に見える
- しかしシステム的には別文字
この状態で起きることは──
- 検索にヒットしない
- マスタと紐づかない
- 「登録されているのに在庫が動かない」
👉
人間には見分けがつかず、システムだけが違いを認識する
典型的な落とし穴です。
■ 末尾に不要な改行コードが入る
バーコードリーダーの設定によっては、
- 読み取り後に「Enter(改行)」が自動入力される
- Excelや入力フォームで想定外の挙動をする
結果として、
- 次の行に勝手に移動する
- 別項目に入力される
- 入力途中で処理が確定してしまう
といったトラブルが発生します。
👉
「たまにおかしい」「人によって違う」
という症状は、改行コード設定が原因のことも非常に多いです。
H3-2|桁数・コード体系の認識違い
次に多いのが、
コードの前提そのものがズレているケースです。
■ JANコード前提なのに独自コードを使っている
在庫管理ではよく、
- JANコードのつもりで管理している
- しかし実際は独自に作った商品コード
という状態が発生します。
このとき、
- 桁数が統一されていない
- 商品ごとに表記ルールが違う
- 「JANっぽい」コードが混在する
結果、
同じ商品なのに別商品として扱われる
あるいは
別商品なのに上書きされる
といった事態が起こります。
■ 桁数チェックが存在しない
本来、
- JANコード:13桁
- 独自コード:ルールを明示
といったチェックが必要ですが、
Excel運用ではここが抜け落ちがちです。
- 12桁でも通る
- 14桁でも登録できる
- 途中で切れても気づかない
👉
「読み取れた=正しいコード」ではない
という点が、在庫管理では特に重要になります。
👉 JANコード違いトラブルへつながる典型パターン
ここまでの設定ミスが積み重なると、
次のような問題に直結します。
- JANが違う商品を同一扱いしてしまう
- JAN違いの商品が上書きされる
- 在庫差異の原因が追えなくなる
これは、
バーコードとJANコードの違いを正しく理解していないこと
が根本原因になっているケースが非常に多いです。
H2-4|Excel・簡易運用で起きやすい読み取りトラブル

バーコードが読み取れない・おかしい原因を追っていくと、
機器や設定以前に、Excel側の設計や運用が原因というケースも非常に多くあります。
特に「とりあえずExcelで始めた」現場ほど、
気づかないうちに読み取りトラブルの温床を作ってしまいがちです。
H3-1|入力セル・シート設計が原因のケース
Excelでは、セルの設定ひとつで挙動が大きく変わるため、
バーコード入力との相性が悪くなることがあります。
■ 書式設定によるズレ
よくあるのが、次のようなケースです。
- セルが「数値」形式になっている
- 先頭の0が消える
- 表示は合っているが内部データが変わっている
この状態で起きる問題は、
- マスタと一致しない
- 検索・VLOOKUPが効かない
- 正しく登録されているように見えて実は別物
👉
見た目では判断できないズレが、在庫差異の原因になります。
■ 数値扱い・文字列扱いの混在
同じバーコードでも、
- Aさんは文字列
- Bさんは数値
というように扱いが混在すると、
- 同一コードなのに一致しない
- 重複チェックが機能しない
- データ修正が地獄になる
という状況に陥ります。
👉
Excelは「自由度が高い」反面、
ルールを決めないと統一されないという弱点があります。
H3-2|人が増えた瞬間に再現しなくなる理由
Excel運用で特に怖いのが、
**「最初は問題なかったのに、ある日突然おかしくなる」**現象です。
■ 手順が共有されていない
よくあるのは、
- 読み取り前にクリックするセルが決まっていない
- 入力手順が人によって違う
- 口頭・感覚で運用されている
結果として、
- 同じ作業でも入力先がズレる
- ミスが再現できない
- 「誰が悪いか分からない」状態になる
■ 属人設定のまま放置される
さらに、
- 特定の人だけが設定を理解している
- リーダー設定・Excel設定がブラックボックス化
- 異動・退職で誰も直せなくなる
という状況も珍しくありません。
👉
これは「人の問題」ではなく、
仕組みとして破綻しているサインです。
👉 Excel自作運用が抱える“構造的な限界”
ここまでの内容を見ると分かる通り、
- Excelは柔軟だが、在庫管理向きではない
- 人・商品・期間が増えるほど破綻しやすい
- 読み取りトラブルは氷山の一角
という構造があります。
この問題をより深く整理した記事がこちらです。
➡ 関連記事
バーコード作成 エクセル|在庫管理で自作すると起きやすい落とし穴
H2-5|「読めない」を防ぐために最低限確認すべきポイント
バーコードが「読めない」「おかしい」と感じたとき、
多くの現場では 設定を直す・機器を疑う 方向に進みがちです。
しかし実際には、
ほんの基本的なポイントを押さえるだけで防げるトラブルも多く存在します。
ここでは、
「それでもExcel・簡易運用で続けるなら」
最低限ここだけは確認してほしいポイントを整理します。
H3-1|読み取り前に確認すべき3つの設定
バーコード読み取りで最初に確認すべきなのは、
高度な設定ではなく、次の3点です。
■ 入力先(どこに入るか)
まず重要なのが、
- 読み取り結果が どのセル・どの項目に入るのか
- クリック位置がズレていないか
- 入力中の別セルに飛んでいないか
バーコードリーダーは、
「今カーソルがある場所」に入力するだけの装置です。
👉
入力先が不定だと、
「読めているのにおかしい」現象が必ず起きます。
■ 文字種(全角・半角・記号)
次に確認すべきは、文字の扱いです。
- 全角数字になっていないか
- 記号や制御文字が混ざっていないか
- Excel側で自動変換されていないか
見た目が同じでも、
12345678901231234567890123
は 別の値として扱われます。
👉
このズレが、検索不可・一致しない原因になります。
■ 桁数(想定と一致しているか)
最後に、桁数の確認です。
- JANコード前提なのか
- 独自コードなのか
- 何桁を正としているのか
これが曖昧だと、
- 短いコードが通ってしまう
- 切れたコードに気づかない
- 誤登録が蓄積する
という状態になります。
👉
桁数チェックがない運用は、必ず破綻します。
H3-2|現場ルールを決めるだけで防げるトラブル
ここまでを見ると分かる通り、
多くのトラブルは「技術不足」ではありません。
決めていないことが原因です。
■ 誰が・どこで・どう使うか
最低限、次の点だけでも明文化する必要があります。
- 誰が読み取るのか
- どの画面・どのセルで読み取るのか
- 読み取り後に何を確認するのか
これだけで、
- 人によるバラつき
- 再現しない不具合
- 属人トラブル
の多くは防げます。
■ マニュアル未満の「簡易ルール」で十分
大げさなマニュアルは不要です。
- 箇条書き3〜5行
- 画面キャプチャ1枚
- 注意点を赤字で1行
これだけでも、
- 新人が迷わない
- トラブル時に切り分けできる
- 「誰かしか分からない」を防げる
という効果があります。
👉
仕組みがない状態での運用こそが最大のリスクです。
👉 「読めない」問題の正体は“仕組み不足”
ここまで整理すると、
バーコードが読めない原因は明確です。
- 機器の問題ではない
- Excelそのものの問題でもない
- 運用ルールと設計が決まっていないこと
これが本質です。
そして、この状態で運用を続けると、
- 商品数が増えたとき
- 人が入れ替わったとき
- 期間が長くなったとき
一気に破綻します。
👉
その構造をまとめたのが、次の記事です。
➡ 関連記事
バーコード 在庫管理 自作|Excel運用が破綻しやすい理由
在庫管理全体の考え方の記事は下記からご覧ください。
在庫管理の問題は「やり方」だけで解決できるものではありません。
SKU・JAN・在庫数・Excel管理などはすべて、在庫管理という仕組みの一部にすぎません。
個別対策を積み重ねる前に、まずは全体の考え方と構造を整理することが重要です。
👉 在庫管理の全体像と考え方を整理する
H2-6|まとめ|仕組みを理解すれば在庫ズレは防げる
バーコードを使っているのに在庫が合わないと、
つい「機械が悪いのでは?」と考えてしまいがちです。
しかし、ここまで見てきた通り、
在庫ズレの多くはバーコードリーダーや機器の故障ではありません。
H3-1|ズレは「機械の問題」ではない
在庫がズレる現場に共通しているのは、
- 読み取り後の処理が整理されていない
- 商品識別の基準が曖昧
- 入庫・出庫・棚卸のルールが人任せ
といった、設定・設計・ルールの不足です。
バーコードは、
「正確に入力する」ことは助けてくれますが、
- どの商品として扱うか
- どう在庫を動かすか
までは決めてくれません。
つまり、
ズレは偶然ではなく
仕組みがそうなっている結果
だということです。
この視点を持つだけで、
「何を直せばいいのか」が見えやすくなります。
H3-2|次に読むべき在庫管理関連記事
今回の記事で整理した内容を踏まえ、
次に確認しておくと理解が深まる記事はこちらです。
- バーコード janコード 違い|在庫管理で混同すると起きるトラブル
→ 商品識別のズレが起きる根本原因を整理 - バーコード 在庫管理 自作|Excel運用が破綻しやすい理由
→ 簡易運用が限界を迎える構造を解説 - 在庫管理TOP7(おすすめ・基本記事まとめ)
→ 現場改善を考えるための全体像を把握
「大きなシステム導入」を考える前に、
まずは仕組みを理解することが、
在庫ズレを防ぐ一番の近道です。
👤 筆者プロフィール|DXジュン(Apice Technology 代表)
「tecn」を運営している DXジュン です。
Apice Technology株式会社の代表として、20年以上にわたり
Web制作・業務改善DX・クラウドシステム開発に携わっています。
普段は企業の現場課題に寄り添いながら、
在庫管理システム/予約システム/求人管理/受発注システム/クラウドソーシング など、
中小企業の仕事を“ラクにするツール”を作っています。
tecn では、業務改善のリアルや、Webシステムの仕組み、 そして「技術が生活をちょっと楽しくしてくれる」ような 日常×デジタルのヒントをゆるく発信しています。
現在の注力テーマは 在庫管理のDX化。 SKU・JAN・棚卸・リアルタイム連携など、 現場で役立つ情報を発信しつつ、 自社のクラウド在庫管理システムも開発・提供しています。
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